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不妊治療再び…のはずが

自分が不妊治療を始めるまで、不妊治療専門の病院がこれほどたくさんあること、そしてその病院がどこも人であふれていることを知らなかった。
それぞれの病院は治療の方針も違うし、使う薬や検査も違う。
長く治療をしている人は、より自分に合う病院を求めて転院する人も多い。
中にはドクターショッピングに陥る人もいるが、それは別として、ただでさえストレスの多い不妊治療、自分に合う病院を探すのは良いことだと思う。

私も気持ちも新たに再出発をしようと、初診の申し込みをしようとした。
ところが、そうは簡単にいかない。
開業間もないその病院には、新たな治療を求めた転院組が押し寄せていたのだ。

2週間に1回だったか1ヵ月に1回だったか、とにかく指定された日に電話がつながらないと初診の申し込みさえできない。
ようやくつながったと思っても、すでに定員に達していて「また次回!」となる。
ここはチケットぴあか。
何度かトライして3ヵ月後の初診を勝ち取る。

不妊治療は通院回数が多い。
採卵の前は毎日注射を打ってもらう必要があるし、
卵の育ち具合の確認、点鼻薬など、30秒のために5時間待つ。
そのつらさを訴えたところ、自己注射の指導を受ければ、
来院せずに自分で注射を打つことができると提案され、すぐに承諾、
練習では思い切りがいいとほめられた。

ストレス減が功を奏したのか、初めての採卵では6個の卵が取れた。
しかし、育ったのは3つ。現実は、なかなか厳しい。

そして、普通ならすぐに移植に進むものだが、私には筋腫がある。
大きな筋腫があると、着床の妨げになるということで、
筋腫を小さくするためのリュープリン注射を3ヵ月打つことになった。
3ヵ月後、いよいよ移植かと思いきや、
やはり筋腫が気になるということで、再手術を勧められ、
大学病院の筋腫の手術をした主治医に相談するように言われる。
出戻りだ。

主治医の予約が取れたのが2ヵ月後。
そこで手術の相談をするとあっさり却下される。
突出している部分だけ削っても、すぐに再発すること、
また大きな手術をするには筋腫が多すぎて危険なこと、
手術後に妊娠しても子どもが育つにつれ、子宮がもたなくなる可能性があること。
説明を受ければ「ですよねー」としか言いようのないことばかりで、「では、不妊治療をやめるので、子宮摘出手術はできますか」と聞いてみた。
我ながら切り替えが早い。

ところが、筋腫手術不可よりもショックなことに、
すでに開腹手術をしているので、多少の癒着があることは確実で、
子宮摘出手術はできないという。
前にも後ろにも進めないというのはこういうことか。

先生からは「卵はいいグレードのものが育ってるのね。同じ状況で妊娠した人がまた1人増えたから、今ある受精卵だけでも移植してみたら」と勧められた。

出戻り娘、再び送り返される。

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