『服を着るならこんなふうに』にみる短歌の学び
私の好きな漫画のひとつに、縞野やえ(企画協力:MB)の『服を着るならこんなふうに』がある。
この漫画は、おしゃれを忌避していた主人公の男性・佐藤祐介が、おしゃれに詳しい妹・佐藤環や友人・樋口リカらのアドバイスを取り入れて、ファッションの楽しさを知っていく、というもの。
漫画の中に出てくるアイテムは実在のもので、「ハイブランドならばなんでも良い」みたいな安易な話は決してせず、おしゃれ初心者にもわかりやすくファッションのリテラシーを解いていく。面白い上に実用性の高い漫画である。
さて、この漫画(現在は第12巻まで出ている)、第8巻まで来ると主人公・佐藤祐介もファッションのリテラシーをかなり身につけている(一気におしゃれになるわけではなく、持続的な試行錯誤を繰り返す中で身についていく、というのもリアリティがあって良い)。そんな第8巻に収録されている第63話と第64話を読んで思ったことがある。
これ、短歌にも通じる話だ!
それこそ、木下龍也の『天才による凡人のための短歌教室』に書かれている教えと、ほぼ同じような話が出てくる。
どうだろうか。用語こそファッションに関する言葉は使われているが、ここで話されていることの本質は、短歌を学んでいく中で、木下龍也が教えてくれたものと同じだと言っていい。
この漫画の著者や企画協力者と歌人の木下龍也の思考が似ている、というよりも、クリエイティビティの基本を押さえると、同じところに行き着く、ということなのかもしれない。
私もおしゃれには疎い方なので、この漫画を結構参考にしている。オススメの漫画です。