見出し画像

総合商社のリアル年収事情

1. はじめに

皆さん、こんにちは。無双くんです。改めてワタシの経歴からお話ししましょう。MARCH出身で、10数年間JTCに勤めた後、30代半ばで総合商社に転職しました。現在は5大商社の一つで事業投資部門に携わっています。

商社への転職を成功させたワタシですが、そこに至るまで結構苦労した経緯があります。実は直近の転職活動以前に、20代のときに総合商社への転職を志した結果、全くうまく行かず挫折をしているのです。

しかし、その悔しさをバネに戦略を立て、数年間キャリアを積みなおし、しっかり準備をして臨んだ結果、5大商社の複数社から内定を獲得するという結果に至りました。この経験から得たものはきっと同じような道を目指す方々の役に立つだろうと思い、少しずつ発信活動を始めることにしました。

今日は、総合商社で働くということの魅力について、自分の経験をもとにお話ししたいと思います。商社でのキャリアは、多くのビジネスパーソンにとって憧れの的。その理由の一つが、もちろん「高い報酬」ですよね。

2. 高年収は魅力なのか?

ワタシが以前勤めていたJTCでは、30代半ばで年収1千万円を超えるレベルでした。これは決して低い水準ではないと思います。しかし、商社に転職してからは、年収は1.7~1.8倍に急増。これが、商社の最大の魅力の一つです。もしも総合商社の平均年収が、例えば大手メーカーやメガバンク並みになれば、こんなにも多くの人が商社を志望することは考え難いでしょう。商社はその高い報酬によって優秀な人材を惹きつけるのです。

職業選択において、単に高い報酬を得られれば良いのか?そんなことはないですよね。現職でやりがいがあったり、特別な経験が積めたり、報酬よりも優先すべきことあるのはごく自然なことです。ただし、読者のアナタが少しでも商社への転職を真剣に検討するような状況においては、その給料差を正当化するほどのことではない場合がほとんどではないでしょうか?

3. 年収水準

各社基本給

まず新卒の初任給ですが、近年大幅に上げられました。各社多少の差はあれどほぼ横並びと言ってよいでしょう。丸紅が25.5万円と低いままですが、まあこちらもすぐに追いついてくると思われます。

その後、概ね5大商社で共通して、3~4年目くらいには1000万円の大台に乗ります。各社昇給スピードに違いはあれど、概ね8年目~10年目くらいに管理職等級に昇格する機会が訪れ、年収は1500万円をゆうに超える水準となります。

実際の年収水準

では、実際にどの程度の報酬が得られるのか見て参りましょう。
OpenMoneyのデータで各社の水準を見ていきます。なお、このデータは同サイトに登録されているデータの中央値を示しています。

◆三菱商事

天下の三菱商事ですが、直近の好業績を背景に、5大商社の中でも報酬水準で頭ひとつ抜けました。業員への利益還元に積極的な賞与フォーミュラ設計になっており、非常に素晴らしいことだと思います。OpenMoney上は必ずしも直近1-2年の最新数値の中央値を表していないので低く見えますが、若手管理職(最速出世で31-32歳くらいでしょうか)であるM2で年収2300万円とのことです。ちなみに、この数値の信憑性が高いことワタシ個人的にも確認がとれています。
ひとつ注目して欲しいのは、年収2300万円を誇るM2等級においてもベース部分は760万円にとどまるということ。単純にこの中央値を12で割ると63万円になっており、M2のスタートは55万円との情報もありますから、基本給は控えめの設計だと言えます。

https://openmoney.jp/corporations/1/salaries

◆三井物産

こちらも三菱商事ほどではないですが、直近のボーナスを加味すると下記数値にプラス数百万円になり、M3の若手管理職でも2000万円の大台に乗る水準だと思われます。ベース部分中央値は960万円、80万円/月と非常に手厚いですね。

https://openmoney.jp/corporations/2/salaries

◆伊藤忠商事

さて、伊藤忠商事ですが、直近業績では三井物産と肩を並べる水準ではありますが、利益還元は上位2社ほどではないと複数ソースからも聞いています。GRADE3が30代前半で昇格できる若手管理職等級で、データ中央値は1500万円にとどまっています。直近の業績でプラス数百万のボーナスは支払われているようですから、実際は1600-1800万円程度ではないでしょうか?
GRADE4の室長代行クラスになると確実に2000万円超えのようです。

https://openmoney.jp/corporations/3/salaries

◆住友商事

業績では、上位3位に引き離され、丸紅と4位争いを続けるような状況ではありますが、報酬面では伊藤忠商事と良い勝負をしているのではないでしょうか。若手管理職であるAP5の年収中央値が1770万円と、伊藤忠商事の同等等級であるGRADE3の1500万円(直近実態はプラス数百万)と比較しても競争力があります。
また、ベース部分中央値が900万円、75万円/月と、三井物産と似て高めに設定されていると思います。なお、上位3社ほどOpenMoneyデータと直近の実態に大きな乖離はないものと推測されます。

https://openmoney.jp/corporations/4/salaries

◆丸紅

年収水準の業界内の立ち位置としては、住友商事と同じようなところにあり、競争力は十分にあると思われます。住友商事との違いは若干ベース比率が低く(中央値840万円、70万円/月)、その分賞与比率が高いことです。

https://openmoney.jp/corporations/5/salaries

4.まとめ

今後も高収入は続くのか?

ウォーレンバフェットが5大商社に投資したニュースを聞いたことがあるでしょう。彼の投資決定の背景には、商社の幅広い事業領域、進行する円安の見立て、各国の金利動向などがあると思われますが、詳しい解説は専門家に譲ります。ここでいえるのは、長期保有を基本方針とする彼が巨額の投資を決めた背景から、商社の成長性に賭けているという事実です。

日本が人口減少に直面し将来が不透明な中、国内市場のみならず、海外で幅広い領域で投資をし外貨を稼ぐ商社のビジネスモデルとそのポートフォリオは、不確実性の高まる世の中では、国内の就職先としては相対的に魅力的と言えるでしょう。必然的に、主に国内マーケットで事業を行い円を稼ぐ会社と比べると、一般的には商社の方が給料の伸びしろが大きいと考えられます。実際、商社は直近の円安進行の一方で、(資源価格の高騰の恩恵も受け)各社軒並み最高益をマークし、それが賞与にしっかり反映されている訳です。

まとめ

商社に転職したことで、ワタシの年収は大幅にアップしました。しかし、それだけではなく、仕事のやりがいやキャリアの幅も広がりました。これから商社でのキャリアを目指す方々にとって、ワタシの経験が何かの参考になれば嬉しいです。

将来を見据えてどんなキャリアを選ぶか、非常に重要な問題です。高い金銭報酬を得ることが全てではありませんが、少なくとも商社の年収事情を知ることはその一助となるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?