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【10クラ】第4回 オマージュ - ニ長調の輝き -

10分間のインターネット・ラジオ・クラシック【10クラ】
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第4回 オマージュ - ニ長調の輝き -

2021年1月22日配信

収録曲
♫ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:ロンド K.485 ニ長調
♫フリードリヒ・グルダ:アリア

オープニング…サティ:ジュ・トゥ・ヴ
エンディング…ラヴェル:『ソナチネ』より 第2楽章「メヌエット」

演奏&MC:深貝 理紗子(ピアニスト)


プログラムノート

喜びを表すニ長調は、この2曲ではとくに天上の響きをも感じさせる。

今回は、1月27日のモーツァルトの誕生日、また、グルダの命日を思いながら選曲した。
グルダは「モーツァルトの誕生日に死にたい」と時折言っていたそうだ。
突然の心臓発作だったというが、クラシックとジャズを自在に、そしてあまりに自然に行き来したピアノ界のスーパースターは、その言葉通りにこの世を去った。

初めてグルダを聴いたのは、高校生の時だった。
あの辛口な吉田秀和氏のどの書評を目にしても、唯一けなしていることのないピアニストで、かえって半信半疑でCDを手に取った。
たちまち目の前がシャキッと晴れるような演奏の虜になって、以来モーツァルトにベートーヴェン、ドビュッシー、自作の作品群を聴き漁った。

なにかを超えた先の、特有の明るさと自由さに、何度も元気をもらった。
それは音楽の歓び、ただただ純粋に、その境地の輝きだった。

グルダのアリアは自演の音源がたくさんあるが、どれもアドリブが入っている。
おそらく、そっくりそのままの音を拾うことを、グルダは気に入らないだろうと解釈し、若干のアドリブを加えている。私なりのグルダへの敬意を、演奏から感じていただけたらとても嬉しい。

モーツァルトのニ長調のロンドは、調の移ろいや変奏が繊細で、遊び心に溢れていて、オペラ的な書法が魅力的だ。「即興性」という部分で、クラシカルでありながらモダンであり、無限大の幅を感じさせられる。

軽やかなのに深い、端正なのに幅広い、そして親しみやすいのにヒョイヒョイと遠くへ行ってしまう…そんなふたつの作品を、私自身これからどのように見、追い求めていけるのか、とても楽しみである。

クラシック音楽を届け、伝え続けていくことが夢です。これまで頂いたものは人道支援寄付金(ADRA、UNICEF、日本赤十字社)に充てさせて頂きました。今後とも宜しくお願いします。 深貝理紗子 https://risakofukagai-official.jimdofree.com/