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レビュー Hovvdy "True Love"

 今回は、アメリカはテキサス州オースティン出身のインディーポップ・デュオ、Hovvdy(ハウディ)の通算4枚目となる新作アルバム『True Love』のレビューを書いていきたいと思います。

【収録曲】★はシングル曲
1. Sometimes
2. True Love★
3. Lake June
4. GSM
5. Around Again★
6. Hope
7. Joy
8. One Bottle
9. Blindsided★
10. Hue
11. Junior Day League★
12. I Never Wanna Make You Sad

■"歌"に焦点を当てた作品

 2016年のデビューからコンスタントにリリースを重ね、本作で4枚目となるフルアルバムを発表したインディーポップ・デュオ、Hovvdy。

 デビュー作では、まどろむようなドリーミーな音像のベッドルームポップを披露した彼らだったが、リリースを重ねる度に、よりフォーキーなサウンドへと変化させるとともに、グッドメロディにも磨きをかけてきた。

 特に、2019年リリースの前作「Heavy Rifter」では、「Mr.Lee」に代表される、ポップでメロディアスな楽曲たちによって、持ち前のローファイポップな雰囲気はそのままに、より多彩なバリエーションを示した。

 そんな中でリリースされた本作「True Love」は、彼らのキャリアにおいて最もフォーキーで、"歌"に焦点を当てた作品になっていると感じる。

 過去作と比べて輪郭のはっきりとした音像になっており、それがセンチメンタルなグッドメロディと、美しいコーラスワークを際立たせている。

 光と影の淡いコントラストを思わせるノスタルジックな雰囲気がアルバム全体を覆っており、穏やかで温もりのある名作となった。

■淡い光と影の狭間を揺れる全12曲

 本作は、優しく囁くような#1 Sometimesで静かに幕を開ける。

 表題曲の#2 True Loveは、メロディとコーラスの良さを十分に堪能できる、間違いなく本作を象徴する楽曲だ。

 ポップな#3 Lake June、#4 GSMは、本作の"光"の面を担う、穏やかで温もりのある楽曲。

 反対に"影"の面を担うのは、#5 Around Again、#6 Hopeの2曲。この楽曲たちが作品全体の雰囲気を引き締めている。

 #7 Joyでは再び淡く穏やかな光が射し、#8 One Bottleではしっとりと聴かせる。この2曲は本当にメロディが素晴らしい。

 シングル曲にもなった#9 Blindsidedと#11 Junior Day League、フォーキーでメロディの素晴らしい#10 Hue、そして最後の曲#12 I Never Wanna Make You Sadは本作を締め括るのに相応しい、穏やかながら重厚な名曲だ。

 間違いなく彼らのキャリアを代表する傑作と断言していい内容。WhitneyやAndy Shaufのファンの方にも是非オススメしたい一枚だ。

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