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2022年上半期 食わず嫌いアルバム聴いてみた

畑中修介

 先日、上半期ベストアルバムの記事を投稿しましたが、色んな方の上半期ベストアルバム記事を読んでみて、自分がこれまで聴き逃していた、あるいは『食わず嫌い』していたアルバムの存在に気づかされました。

 今回は、そんな『食わず嫌い』していたアルバムを10枚ピックアップして、各1周ずつ聴いてみた感想を記していきたいと思います。

 今までは何となく避けていたけれど、数多くの方が『上半期ベストアルバム』記事で絶賛されているのを読んで気になった、そんな作品ばかりです。

 それでは早速行きます。順番はリリース順です。

1.The Weeknd "Dawn FM"

 私がコレを食わず嫌いしていたのは、ジャンル的に畑違い感を感じていたからなのか、それともこのジャケットのオジサンのビジュアルが生理的に受け付けなかったからなのか、(最初、ホントにこんな見た目の人が歌っているのかと勘違いしていたが、実際は、本人の顔を加工したものとのこと。)真相は自分自身でもよく分かりませんが、多くの方が上半期ベストアルバムに選出されており、気になって今回初めてザ・ウィークエンドを聴いた超初心者の私。("The Weeknd"で"e"が無いんですね。)こういう音楽をオルタナティブR&Bと呼ぶのか?知識に乏しく何が正しいのか分かりませんが、それはさておき、とりあえず最高に耳心地の良い音楽だということはすぐに分かりました。歌い方もサウンドも、物凄くマイケル・ジャクソン感があります。80年代のレトロな感じを醸し出すのが彼の持ち味なんだとか。とにかく耳が喜ぶようなサウンドで、架空のラジオ番組というコンセプチュアルな感じも嫌いじゃないです。一瞬で人を惹きつけるスター性、圧倒的オーラを感じた一枚。

お気に入りトラック:Take My Breath




2.Black Country, New Road "Ants From Up There"

 昨年話題になったデビュー作を聴いてみたものの、どうにも馴染めず。その記憶が残っており、この2ndアルバムにもなかなか手を出せずにいたのです。馴染めなかった要因としては、フリージャズ要素に慣れておらず、アーティスティック過ぎる奇想天外なアプローチ(と私は感じた)についていけなかったことが挙げられます。正直に言って、本作でもその印象はさほど変わっていないのですが、既に多くの方がレビューされているように、フリージャズな要素の強かった前作から、ソングライティングにも力を入れた本作への変化を確かに感じ取ることができたためか、奇想天外なアプローチを楽しめる余裕が多少出てきたといったところです。JAZZ要素を包括したアートロックっていうんですかね。自分の好みに合致するまでは行きませんでしたが、魅力が少し分かったということで一歩前進(?)です。

お気に入りトラック:Chaos Space Marine




3.Mitski "Laurel Hell"

 決して敬遠していたわけではないものの、何となく、これまで積極的に聴いてこなかったMitski。多くの方がベストに選出されていて気になったのを機にじっくりと聴いてみた結果、「今まで何故これを聴かなかった?!」となりました。この、妙に耳に残るドラマティックなメロディは彼女特有のものなのか。他の作品をまだ聴いてないので何とも言えませんが、本作を聴いた限りでは、「Mitski節」とでも呼びたくなるような独自のメロディセンスを感じました。芳醇な歌声も、このメロディとよくマッチしていますね。サウンドとしては、懐かしさも感じさせるシンセポップ。(他の方のレビューを読む限りでは、シンセポップ路線は本作での新たな試みのようだ。)全33分というコンパクトな展開で、一曲ごとの強度が高いのも魅力です。

お気に入りトラック:The Only Heartbreaker




4.Charli XCX "Crash"

 コレに関しては、食わず嫌いの理由が明らかで、完全にジャケット、アートワークです。この、頭から血を流してる感じがちょっと好きになれなかったんですよねぇ。ただそれだけの理由で、音楽を選別するのは勿体無い。そんなことを思わせてくれるだけのクオリティは備わっているかと。この方、アーティストとしてだけでなく、プロデューサーや女優もされているマルチな方なんですね。プロデューサーをされているだけあって、サウンド面での引き出しの多さ、多彩なアプローチが楽しいエレクトロポップアルバムに仕上がっていると思います。ダンサブルな感じもgood。そして一曲あたり平均3分以内というコンパクトさも好みでした。

お気に入りトラック:Lightning




5.Yumi Zouma "Present Tense"

 コレ何て読むの?ユミゾウマ?どこの国の人?なんだか変わった名前・・・あろうことか、ただバンド名がイマイチ馴染めないというだけの理由で、聴く音楽を選別してしまいました。すいませんでした。調べてみたらニュージーランドのシンセポップバンドということで。バンド名は、あえて掴みどころのない、何かに捉われないような名前にしたかったのだとか。確かに言われてみればそんな感じがする。(ただ、そのせいで聴くのが遅れたぞ!)音楽的イメージとしては、もっと派手で分かりやすいキラキラのシンセポップなのかと想像していましたが、案外インディー然とした雰囲気が漂っていますね。Alvvaysにも通ずる、ドリーミーなインディーポップといった感じの世界観。どちらかと言うとサウンドよりもソングライティング重視な感じが好印象。派手さはないけど、堅実で良質なインディーポップアルバムといったところ。

お気に入りトラック:In The Eyes Of Our Love




6.藤井風 "Love All Serve All"

 藤井風?どうせJ-popに毛が生えた程度の音楽でしょ?そんな風に、彼の実力を勝手に決めつけていたことが食わず嫌いの要因です(凄まじい偏見の強さ)。ただ最近、たまたま前作の『何なんw』という楽曲を聴く機会があって、かなりハマったんですよね。方言を駆使した印象的な歌詞もそうですが、歌声や歌い方が持つカリスマ性、一度聴いたら頭から離れないソングライティング、サウンド的にもJ-popにR&Bやhiphopの要素が絶妙にブレンドされていて非常に優れた感性だなと。そんな期待大の中で本作を一聴してみた感想、『…ややパンチに欠けるか?』。ソングライティング的にもサウンド的にも、もう少しインパクトの強い楽曲を期待していましたが、パンチ不足感が否めず。思ったより歌謡の要素が強めな気も?佇まいも含めたスター性、人物自体の華やかな部分は大いにあると思うんですけどね。決して悪くは無いんだけど、本作には思ったほどはハマれなかったというのが現時点での率直な感想。繰り返し聴いたら変わるかな?

お気に入りトラック:やば。




7.Wet Leg "Wet Leg"

 新人の女性デュオバンド?何か最近やたらと流行ってるみたいだけど、どうせ派手さが売りのイロモノでしょ?と敬遠していました(もはや病的な偏見ぶり)。聴いてみて、かなりミニマルなバンドサウンドが鳴らされていることにまず驚きました。ストロークスばりのミニマルなインディーギターロックですね、これは。余計な音は削ぎ落とされ、必要最低限の音数で勝負しているのですが、その数少ない音にフックがあり、インパクト大。キャッチーさも抜群です。私は歌詞はあまり読まないのですが、何でもユーモアたっぷりかつ下ネタ多めな歌詞がウケているのだとか。歌詞をじっくり読む人であればなおのこと楽しめるのでしょうね。ただ、それを差し引いても私は十分楽しめました。普通に、UKのガレージロックとかが好きな方にも刺さるのではないかと思います。個人的に、今回期待を最も大きく上回ってくれたバンドでした。

お気に入りトラック:Chaise Longue




8.Fontaines D.C. "Skinty Fia"

 これに関しては食わず嫌いではないです。単純に、彼らの存在自体を知りませんでした。色々な方の上半期ベスト記事を読んでいて最も気になった存在の一つで、大きな期待を持って聴きましたが、結果、その期待に負けない内容でした。スリリングなバンドアンサンブルが奏でる、飾り気の一切無い、生々しい剥き出しのサウンドは、ダークで重厚感たっぷり。気難しげな抑揚の無いボーカルにも、独自の存在感、カリスマ性を感じました。引き合いに出したいのは、同じくポストパンクというカテゴリで語られることの多い、デンマークのカリスマIceage。上記で述べた幾つかの特徴は、両者に共通する要素が多いと感じます。大きなスケール感を持った孤高のバンド。気難しい雰囲気はありますが、鳴らしているサウンド自体は決して難解ではありません。今後の更なる飛躍が楽しみなバンドです。

お気に入りトラック:Jackie Down the Line




9.Arcade Fire "WE"

 これに関しては、聴こう聴こうと思ってはいたものの、「どうしても全盛期と比べてしまうと劣っちゃう」的な評判を多く目にした事で、それに流されて後回しにしてた、って感じですね。上半期ベストアルバムの記事を読んでいても正直あまり挙げている方が居なくて、彼らほどのモンスターバンドの5年ぶりの新作が大して盛り上がってない(?)ことで逆に気になってしまいました。聴いてみた感想としては、う〜ん、評判通りかな…?といったところ。孤独感、不安感を表現した前半パートと、繋がり、喜びを表現した後半パートで明確にコンセプトを分ける構成とのことで、確かに楽曲の雰囲気が前後半で明らかに変わっているのは分かるんだけど、その変化の付け方に対して特段の高揚感を覚えなかったというのが正直な感想。もう少し変化の付け方を工夫して、ドラマティックさが欲しかった。

お気に入りトラック:Age Of Anxiety Ⅰ




10.Harry Styles "Harry's House"

 ここまで来ると、もはや言わずもがなですが、いま全世界を大席巻中の彼もまた、私の食わず嫌いの標的になりました。ホントに天の邪鬼な性格、困ったものです。しかし、お店とかで"As It Was"がかかりまくってるのを聴いて頭から離れなくなり、更に各レビューで大絶賛されているのを読んで、これはもうアルバム聴くしかないと。結果、大変素晴らしい作品でした。生のバンドの質感をしっかりと残しつつ、そこにシンセを融合させたサウンドが本当に心地よい。ソングライティング的にも申し分ないです。この時点で既に素晴らしいのですが、それに加えてあれだけの華々しいスター性という誰にも負けない武器があるわけですから、ここまで売れるのも納得です。中盤以降フォーク要素を押し出してしっとりと聴かせたり、シティポップなテイストの曲を織り交ぜたりと、多彩なアプローチも楽しい。流行り廃り関係なく、長く愛聴できそうな作品です。

お気に入りトラック:Cinema




最後に、個人的に聴いてみて良かった!と思った順番を。

1. Wet Leg
2. Mitski
3. The Weeknd
4. Harry Styles
5. Fontaines D.C.
6. Charli XCX
7. Yumi Zouma
8. 藤井風
9. Arcade Fire
10. Black Country, New Road


 いかがだったでしょうか。もし私と同じように食わず嫌い、もしくは聞き逃していた作品がありましたらご参考にして頂けると嬉しいです。

 最後まで読んで頂きありがとうございました。

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畑中修介
音楽好き(特にインディーロック/エモ)