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孤高の天才シンガーソングライター、Elliott Smith特集

今回は、孤高の天才シンガーソングライター、Elliott Smithについて語っていきたいと思います。

■Elliott Smithの魅力とは

 まずはその美しく繊細な歌声です。聴く者に自然と寄り添ってくれる優しさと、どこかクールさも漂う、特別な声の持ち主だと思います。

 また、彼の音楽を語る上で、唯一無二のメロディセンスを欠かすことはできません。エリオット節とも言うべき、捻りが効きつつも親しみやすいメロディラインは、完全に独自のものと言っていいでしょう。

 さらに特筆すべきは、メロディに対するワードのチョイスです。メロディとワードがぶつかり合うことなく、耳に心地よく響くように磨き抜かれた詞であると感じます。

 最後に、立ち振る舞いや、楽曲そのものから伝わってくる、素朴で飾らない人柄も、間違いなく彼の魅力の一つだと思います。

■プロフィール/経歴

生誕:1969年8月6日
死没:2003年10月21日(34歳没)
活動拠点:アメリカ🇺🇸
     (ポートランド→ブルックリン→
      ロサンゼルス)
活動期間:1994年〜2003年
ジャンル:インディーロック
                  インディーフォーク

↓オリジナル年表

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 元々はヒートマイザーというロックバンドに所属していましたが、その傍ら、1994年にアルバム「Roman Candle」でソロデビューを果たします。

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 このデビュー作と、翌年リリースした2ndアルバム「Elliott Smith」は、ほぼアコギでの弾き語りのみというシンプルな構成で、暗い雰囲気の楽曲が多いという印象もあったせいかセールス面での成功には至りませんでしたが、楽曲のクオリティの高さは当時から際立っていました。なお、この頃にヒートマイザーは解散しています。

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 1997年にリリースした3rdアルバム「Either/Or」では、エレキギターやベース、ドラム等の楽器を積極的に取り入れ、温かみに溢れた雰囲気のキャッチーな楽曲も増えています。本作を彼の最高傑作として挙げる人も少なくありません。

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 また同年、5曲の楽曲を提供した映画「グッド・ウィル・ハンティング 」(監督:ガス・ヴァン・サント、主演:マット・デイモン)が公開され大成功を収めると、主題歌に抜擢された「Miss Misery」がアカデミー賞 歌曲賞にノミネートされるなど、一躍脚光を浴びました。なお、提供した5曲のうち3曲が、3rdアルバム「Either/Or」に収録されています。

 しかし、その裏で彼はドラッグやアルコール中毒、深刻な鬱病に悩まされていました。実際に、崖から飛び降り自殺を図ったことを本人も認めています。

 1998年には、メジャーレーベルに移籍し4thアルバム「XO」をリリースします。前作までの素朴なアコースティックサウンドから、多様な楽器を取り入れたサウンドへと、音楽性が飛躍的に広がりました。

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 2000年には、5thアルバム「Figure 8」をリリースします。前作「XO」で拡がった音楽性を更に発展させ、オーケストラ的アレンジをより積極的に導入し、バンドサウンドも前面に押し出したキャッチーな作品になっています。同年、フジロックフェスティバルへの出演も果たしています。

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 しかしながら、その後2001年〜2002年にかけてはドラッグ中毒、アルコール中毒、鬱病が更に深刻化し、ほとんどライブ活動も行えない状況だったといいます。

 それでも2003年には懸命の治療が実を結び、ドラッグ、アルコール、抗うつ剤を断つことに成功しました。そして、6thアルバムの完成を目前に控えた10月、彼は突然の死を迎えます。死因には諸説あり、自殺か他殺かは現在もはっきりしていません。

 彼の死から約1年後、これまで彼の作品を手掛けてきたプロデューサーによって仕上げとミックスが行われ、遺作となる6thアルバム「From A Basement On The Hill」がリリースされました。

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 その後、2007年にはB面集「New Moon」が、2010年にはベスト盤「An Introduction to... Elliott Smith」がリリースされるなど、死してなおファンから愛され続ける存在です。

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 が、まだまだエリオットの存在を知らない、知ってはいるものの聴いたことはない、という方は多いように感じます。本当に素晴らしい音楽なので是非、より多くの方に知って頂きたいです。

■勝手に全アルバム格付け

 ※あくまで独断と偏見です。
 ※全部"S"にしたいくらい好きですが、そんな中でも心を鬼にして優劣をつけています。

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 まず、最高傑作として、私は「Figure 8」を推します。"A"の2枚も捨て難い存在ではありますが、私個人としては圧倒的に「Figure 8」です。

 彼のキャリアの中でも断トツにキャッチーで聴きやすく、おもちゃ箱のようなカラフルさが魅力。それでいて、彼の最大の魅力の一つである、捻りの効いたメロディセンスも存分に味わうことができるので絶対的にオススメします。

 次点は「XO」。オーケストラ的なアレンジによってドラマティックに展開していく終盤は必聴。「Either/Or」は、アレンジは素朴ながら、ソングライティングのクオリティの高さだけでこの位置に来れるレベル。

 「Elliott Smith」もソングライティングのクオリティは非常に高いのですが、"A"の2枚と比較すると一段落ちるかなというところ。

 デビュー作「Roman Candle」と、B面集の「New Moon」は、曲単位で見ると名曲がいくつもあるのですが、アルバム全体の統一感も考慮するとこの位置。B面集なので統一感が他に劣るのは当たり前と言えば当たり前ですが。

 死後にリリースされた遺作「From A Basement On The Hill」も個々に見ると名曲が収録されてるんですけど、("Memory Lane"とか最高です。) アルバム全体の統一感はあまり無いのかなということで泣く泣くこの位置にしました。

■名曲紹介

 ・Son Of Sam (Figure 8)  
 ・Independence Day (XO)
Son Of SamIndependence DayはまさにElliott節と呼ぶべき必殺の2曲なので是非聴いて頂きたいです。この2曲には、分かり易い構成や、ここという盛り上がりポイントはありません。それなのにイントロから曲の終わりまで、常に聴き入ってしまい、その後も何度も繰り返し聴きたくなります。革新的なサウンドや、超絶テクがあるわけでもないのに、です。メロディに捻りが効いていて、だけど複雑になり過ぎることはなく、親しみやすさもある…そんな絶妙なセンスがあるからこその名曲だと思います。これぞ彼の音楽の醍醐味です。

■最後に

 私が音楽を聴き始め、エリオット・スミスの存在を知った時には、既に彼が亡くなってから数年が経っていました。もし彼の新作をリアルタイムで聴き、生でパフォーマンスを観ることが出来たならどんなに素晴らしいだろうかと思うと本当に残念でなりません。

 この記事を読んで少しでも彼に興味を持って頂けた方は、是非彼の素晴らしい音楽に触れてみてください。

 最後に、2000年のフジロック Green Stageに出演した当時の映像がフルパフォーマンスでyoutubeにアップされていますので、興味のある方は是非観てみてください。


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