「ハイヌーン」 真夏の昼の決闘
「世にも奇妙な物語」
「世にも奇妙な物語」というTVドラマをご存じでしょうか。
タモリさんがナビゲーターを務める、それこそ「奇妙な」ドラマです。オニムバス式なので、各回15分程度の長さで手頃な時間で楽しめます。
その中に「ハイヌーン」というタイトルの回があります。
原作は江口寿史氏『すすめ!!パイレーツ』(第8巻所収)「史上最大の生中継の巻」です。
あらすじは非常にシンプル
暑い真夏のある一日、一人のサラリーマンが町の食堂へ現れます。
彼は壁に貼ってあるメニューを見て、一番右記載の「親子丼」を注文します。
食べ終えると「カツ丼」を追加注文。
ここまでなら…お腹が空いているただの客の振るまいということで誰も気にとめません。
ところが、男はさらに「玉子丼」そして「スタミナ丼」を追加注文。
ここで店員さんは不安になります。四品目ですから。店主は「ひとりでそんなに食えるわけないだろ」と、台所でうそぶくのですが、男は全部平らげます。
壁に貼ってあるメニューの品を連続注文
はじめは興味なさそうにしていた他の客も、次第にこの男が気になりだし、見て見ぬふりをしながら皆固唾を飲んで注目します。そしてメニューに視線をあて「まさか」という予感がよぎります。
男はメニューに並ぶ次の品「あじフライ定食」を注文。
そうです。男は店のメニューを片っ端から順に注文しているのです。
店内は次第に大騒ぎに
外からやって来た客が、男の食べている「ニラレバ定食」を見て、「同じものを」と注文するのですが、店内の様子がおかしいことに気がつきます。客が皆席を立ち、サラリーマンの男が食べる様子を見守っているからです。
「これでお客さん10品目なんですよ」
店員が告げると「何だって!」と驚く客。
「餃子定食」
客は店の外に飛び出し、近所中触れ回り、店は大勢の野次馬が押しかけます。
定食類を全制覇した後、ラーメン類へ。
食堂で大勢の客がひしめき合っているので、通りがかったお巡りさんが入ってきます。後から来た客は詳細を知らないのでざわついています。最初から店にいた学生が一部始終を説明する中、男は残る2品のうち「焼飯」を注文。
そして、最後の一品「カレラーライス」を注文。頑張れ!の歓声の中、無事に完食!
そう、男はついにメニュー全品を完全制覇したのです。
感動する店主。そして…
感激で涙する客たちに囲まれる男。
店主が現れ、男に告げます。
「お客さん、こんな嬉しかったことはないよ。ありがとう!」
作り笑いで答える男。
男は喧噪をよそに、やがて、メガネを付け直し、再びメニューに視線を…。そして告げます。
「親子丼」
(終わり)
以上、1992年版のあらすじでした。
このドラマはリメイク版が2015年に放映されました。
謎の男役は1992年版が玉置浩二さん。2015年版はなぜか和田アキ子さんでした。
上のリンクは、2015年の放送。フジテレビオンデマンドで今でも鑑賞できるかもしれません(未確認)。
江口寿史氏『すすめ!!パイレーツ』第8巻所収「史上最大の生中継の巻」
原作はKindleで購入可能です。KindleUnlimited会員は無料で読めます。月額980円ですが、入会者は初月1ヶ月無料です。
エピローグ
テレビドラマは、男の注文がメニューの先頭に戻り、視聴者に「無限ループ」を予感させたままエンディング。
一方、原作漫画は、男(漫画では着流しスタイル老人。仙人風)食べ終わり、店を出て、まるで荒野のガンマンのように去って行く男を見守る中、店主が「食い逃げだ…」とつぶやくオチになっています。
ヘッドの写真は「松屋」さんで食べた「シュクメルリ」です。文章との関連は全くございません。ただのイメージです(笑)。
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