整体は違法なのか?

結論からいえば整体は合法です!
ですが

ただし「整体、リフレの名のもとにマッサージを行うのは違法」

です!

正確には
「リフレにせよ整体にせよカイロにせよ、その施術内容がマッサージ、指圧、あん摩、柔道整復術に相当するものではなく、尚且つ人体に危害を与えるおそれがない場合に限って合法!」
なのでリフレ、整体の看板でマッサージ施術をすることは完全に違法です!


よく昭和35年の最高裁判例を曲解し、マッサージも資格がなくても危険がなければ良いんだと思っている無資格のセラピストがいますが、これは大間違いの大嘘です。詳しくは後述しますが、最高裁の判例の趣旨を当時の厚生省が最高裁事務局に質問しており、国会議事録で危険があろうがなかろうが、無資格でのマッサージは違法と言及されています!


巷にあふれるリフレ、整体、カイロプラクティックなどはいずれも管轄省庁も公的資格も必要のない業態です。ど素人が明日から開店してもなんのお咎めもありません。

なかには国家資格であるマッサージ師や柔道整復師、近年はPT(理学療法士)なども整体の看板を掲げて営業しているところもありますが、その理由は、国家資格でマッサージ師や柔道整復師が開業するには、保健所への登録が必要で、登録の際に厳しい広告規制があるためです。PT(理学療法士)は病院勤務では給料が頭打ちで、医師の指示でしか理学療法は行えず、開業権(独立)もないために収入と自由を求めて整体で開業するのでしょう。

そのため登録の必要もなく知名度の高い整体の看板で開業するマッサージ師や柔道整復師が存在しますが、整体やリフレ店の大半はなんの公的資格もない人が施術しています。

このなんら公的資格ももたない自称セラピスト達の何が問題か?
やっていることはマッサージなのに「整体」「もみほぐし」「リラクゼーション」と言い張り営業している。これは、医師かマッサージ師免許を持つ人以外の人は、マッサージを仕事としてはいけませんよという、あはき法第1条の明確な違反です。


第一条
 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。

第十二条 何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。

あん摩マッサージ指圧師法より

昭和35年の最高裁判例”とは?


これはHS式無熱高周波療法という機械を用いた治療行為(実際には無資格であん摩行為も行っていた)に対して違法判決をうけた業者が、判決は憲法の保障する職業選択の自由に反すると最高裁に上告したものである。
上記にあるように法律(あはき法第12条)では、医師以外であん摩マッサージ指圧師、柔道整復師以外のものが医業類似行為(医療のような治療を目的とした行為)を職業とすることはできない。で最高裁の判断はどうだったかというと、原判決を破棄して仙台高裁へ差し戻ししました。
「破棄差し戻し」というのは、平たくいえば「これまでの裁判所が前提としたルールは間違ってますよ。このルールで判断してね。わからない事実もあるだろうから、もう一度、原告や被告に資料を出してもらってください」という意味です。

差し戻しにあたっての最高裁の示した見解が下記

あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第一二条、第一四条が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのは、人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならない。

②右のような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記第一二条、第一四条は憲法第二二条に反するものではない。

*ちなみにこの裁判は高裁での差し戻し審でも結局は有罪となりました

ですが、ここでの最高裁の差し戻しで示した見解が今日の無資格セラピストの横行につながるのです

(あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師以外のものが)医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのは、人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならない」

つまり、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師以外の人も、人の体に対して危険を与えるおそれがなければ何をやってもいいよという解釈ができるからです。
なのでマッサージとか指圧以外なら事故起こさない限り検挙されない!?
というかマッサージの法的定義がないんだから、無資格でマッサージしても整体っていえばいいじゃん!
最近では無資格がマッサージをメニューに入れていても保健所も厚労も何もしません。昭和35年最高裁の意味がマッサージ行為にまで及ぶと勘違い(意図的か)しているのです。


疑問 

疑問 昭和35年の最高裁判決は無資格でのマッサージも認めたことになるのか?


答えは当然NOです。現在の厚生労働省もよくわかっておらず勘違いしていますが無資格によるマッサージ、あん摩、指圧行為が違法なのは最高裁の判例に全く関係ありません。これは当時の最高裁事務局に当時の厚生省が判決の主旨を確認をして国会で答弁しています。よく最高裁が危険がなければ無資格でもマッサージしていいと認めている!とか言うバ〇いますが、逆です。最高裁がその判例主旨に対する問い合わせで明確に無資格のあん摩は違法と回答しています。
ちなみに国会でのやり取りは書記官がすべて記録しており、その記録は「国会議事録検索システム」で公開されています。そこで、当時のこの最高裁判決に対して質問した議員がいらっしゃいます。
検索キーワード あん摩、無免許、最高裁 で検索すると、昭和35年判例の当時どういった議論がなされていたかがよくわかります。最高裁の判例の無資格のあん摩マッサージは違法であるというのは下記の会議で最高裁事務局の回答で出ています。

第38回国会 参議院 社会労働委員会 第29号 昭和36年5月18日
において

先生の御質問のような解釈(無免許でも害がないなら医業類似行為していいのなら、あん摩の資格必要ないということか?)も、実は私たちの方もできるのではないかと、この判決につきまして実は非常な疑問を持ちまして、最高裁の事務当局に照会をいたしまして、次のようにはっきりいたしたのでございます。ここでいう医業類似行為というものは、あん摩とか、はりとか、きゅうとか、そういうようなものを含まないで、これは免許制度で、あん摩とかはりとかきゅうとかいう特殊の身分制度がございまして、これはやはり一つの身分制度が確立しておるから、これについてもぐり(無資格)は従来通り厳重に取り締まるのだ。ただ、この判決にいう医業類似行為というものは、あん摩、はり、きゅうとか、それ以外のいわゆる届出医業類似行為である。つまり従来医業類似行為については広い意味と狭い意味の解釈がございまして、医者のやる医療行為以外のものを医業類似行為といっておったのですが、しかし、もう一つ狭い意味では、医業類似行為というものが禁止されておる、しかし、ただし書きとして、既得権を擁護する意味で三年間認めたわけですね。それを今回また三カ年間既得権を認めていこうということなんです。その認めていく対象になる医業類似行為だけをこの最高裁判決では医業類似行為だとしておるんだ。従って、この判決により従来のようなあん摩師、はり師の問題には全然これは関係ない。ですから、無免許あん摩というものは、従来通り、これは人体に危害があろうとなかろうと、これは無免許でやった場合には厳重に取り締まるのだ。しかし届出医業類似行為、それのまがいのことをやっておれば、人体に影響があったという場合しか処罰できない、こういうふうに解釈がはっきりしてきたわけでございます。」

第38回国会 参議院 社会労働委員会 第29号 昭和36年5月18日
no 029 発言者 黒木利克
キーワードに単語を入力することで、議事録内でキーワードに該当する答弁がすべて表示されます

マッサージの定義がない?

厚労省の取り締まりをしない逃げ口上にマッサージの法的定義がないという回答があります。逃げ口上と厳しく断ずる理由は、法定義なんぞ看護師にもPT、OTにも弁護士にすらその業務内容の法的定義は書かれていないので論外です。そもそもあん摩マッサージ指圧の学校で用いられる実技教科書で教えている手技があん摩マッサージ指圧あることは明白で、そこになんら疑問もさらなる定義なんぞも必要としないはずです。教科書で教えている内容があん摩マッサージ指圧でないのなら我々は何を習ってあん摩マッサージ指圧になったんだ?という話です。


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