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Taylor Swift、ニューアルバム『Midnights』はどんな作品に? ”真夜中”に生まれた13曲

10/21にリリースされるTaylor Swiftのニューアルバム『Midnights』。コロナ禍に入って以降、予定していたツアーをキャンセルしたことで生まれた時間を利用して2枚のアルバム『folklore』『evermore』をリリース。両作はTaylorの優れたソングライターとしての資質、カントリーミュージックにおける”語り部”的な素養にもスポットを当て、既存のファン問わず多くのリスナーから称賛を集めた。ここではリリースが迫った『Midnights』について、現時点でわかる情報をまとめていく。

Taylorにとって通算10枚目のスタジオアルバムとなる『Midnights』は、8月28日(現地時間)に開催された『2022 MTV Video Music Awards』の受賞スピーチにて本人の口からリリースの第一報が伝えられた。同日深夜にはアルバムのアートワーク、そしてSide A/Side Bに区切られた全13曲入りの作品であること、さらに各楽曲で「私の人生で経験した13の眠れぬ夜の物語」が綴られていることなどが声明文とともに明かされた。

その後、TaylorはTikTokにて”Midnights Mayhem with Me”と題した企画をスタートさせる。ビンゴ形式でその時に出た数字と同じトラックナンバーの曲タイトルを発表していき、リスナーからの期待を煽り続けた。アワードを発火点に、何重にもリリースに向けたサプライズを用意する、こうしたTaylorらしいコマーシャル方法は多くのリスナー/メディアの興味を引き付けていく。

アルバムは『folklore』『evermore』にも参加し、長年のコラボレーターでもあるJack Antonoffがプロデュースを担当。また、Lana Del ReyがM4「Snow on the Beac」でゲスト参加するなど、既存の情報のみだけでも傑作の予感がしてならない。

これまでもプライベートな出来事を題材に同時代を生きる人々に様々なメッセージを発信してきた。今作ではM1「Lavender Haze」においては、米ドラマ『Mad Men』を鑑賞している際にその楽曲タイトルを思い付いたという。「(Lavender Hazeという言葉が)クールな響きだと思って調べたら、50年代によく使われたフレーズで、それが恋をしている時を表現していることがわかった」とTaylor本人は語る。また、現在は「ソーシャルメディアの時代」であることから、公人でなくとも誰もが個人の恋を知ることができると言及。『folklore』『evermore』にもWilliam Bowery名義でクレジットされているパートナー・Joe Alwynと交際中のTaylorはその関係性を公では認めていないものの、「Lavender Haze」におけるメッセージでは「私たちは変な噂やタブロイド紙のようなものをかわさなければならなかった」と関係性について間接的に触れた。

そして本日10月17日、Taylorは”Meet the Midnights Manifest”と題した『Midnights』に関するプロモーションスケジュールを発表。まずは現地時間10月20日にPrime VideoでオンエアされるNFLの試合の合間にティーザー映像を解禁予定。さらにアルバムリリース日には収録曲より「Anti-Hero」のMVをプレミア公開するほか、10月24日に『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』、10月28日には『The Graham Norton Show』と米英の老舗音楽番組へにも出演するようだ。なお、「Anti-Hero」に続く新たなMVが10月25日に解禁されるとのこと。

通常ならばシングルやリード曲などが先行リリースされるが、Taylorのようにアルバムパッケージが世に放たれるまで一切音源を解禁しない例は少なくない。制作チームや一握りの関係者のみにだけ伝えられているであろうその情報統制は、前述のメディア報道のミスリードを防ぐ理由もある。だが、そうした秘密主義を思わせる立ち回りがTaylor Swiftのスター性を何倍にも増幅されていることも確かだ、最低限の立ち回りが最大限のプロモーションとしてエンタメ化されている点も、とても今らしい。

photo by Beth Garrabrant

10月21日は『Midnights』のほか、Arctic Monkeysのニューアルバム『The Car』もリリースされることから、英国では同週のアルバムチャートでどちらが首位に輝くか話題となっている。Taylorが1位となれば(再録盤も含む)7作連続、9枚目のNo.1アルバムを獲得することになる。これはMadonnaに次いで同チャート歴代2位の記録であるが、それ以上に”Arctic Monkeysの連続首位獲得記録を止めたアーティスト/作品”となることでより大きな反響を呼ぶに違いない(Arctic Monkeysはデビューから全てのリリースアルバムが全英1位を獲得している)。

”真夜中”をテーマに生まれた『Midnights』は、『folklore』『evermore』の延長線上にありながらも、これまで発表してきたどのアルバムとも色相の違う作品になることは明確だ。華やかでヘヴィなポップサイドの顔を見せた『1989』や『Reputation』、アコースティックサウンドをベースに原点回帰を印象付けた『Lover』、Bon Iverなど誰もが想像し得なかったコラボレーションで新たな地平を広げた『folklore』……トレンドセッターであり、アナーキーな視点も持ち合わせるTaylor Swiftがどのようなアプローチで13の”真夜中”を描いたか、今から楽しみだ。

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