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月に何回同じ曲聞くと、飽きられるのか? 〜 飽きられない為にすること 〜

「ブーム」とは表裏一体です。一過性で終わってしまったアーティストは数知れず。その「一発屋」で終わってしまった原因を「視聴回数・時間/月」という軸で考え、「飽きられない為にすること」を考えていきます。
※書き出したらめちゃ長くなってしまいましたので要点が欲しい方は「飽きられない為に、何をすべきか?」まで飛んじゃってください。

ミスチルの「HANABI」と「エソラ」が少し苦手

私ごとですが、Mr.Childrenさんの名作アルバム『SUPERMARKET FANTASY』に収録された「HANABI」と「エソラ」が苦手なんです。

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オリジナルアルバムとしては最後のミリオンセラー。音楽史に残る名作。それが『SUPERMARKET FANTASY』です。死ぬほど売れました。

実は当時HMVでバイトをしていたのですが、店のBGMで「HANABI」、「エソラ」が延々とリピートされていたのです。1日中ずっと...
『SUPERMARKET FANTASY』は発売4週目で累計100万枚を突破しています。つまり、店のBGMで4週間。1ヶ月の間「HANABI」、「エソラ」を聴き続けたんでしょう...

結果「HANABI」、「エソラ」が少し苦手になってしまいました。(それ以外の収録曲は大好きです。ミスチルさんは勿論大好きで、一番好きな曲は「マシンガンをぶっ放せ」です)



本題はここから

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
私個人のお話ですが「HANABI」、「エソラ」ほどの名曲でも1ヶ月の期間に何回も聴き続けると飽きてしまう。

私の場合だと、
・週3バイト
・平均バイト時間5時間(休憩時間除外済)
・1時間に2回、「HANABI」(約6分)、「エソラ」(約5分)が入ったプレイリスト
計算すると、

週3回 × 5時間 × 4曲再生 × 4週間 = 240回 / 月(1曲当たり120回)
・月に120回 = HANABI720分、エソラ600分、合計1320分
・週に28回 = HANABI168分、エソラ140分、合計308分
・日に4回 = HANABI24分、エソラ20分、合計44分

「日に4回、同じ曲を1ヶ月聞くと飽きた」
これが私に起こった出来事です。
活動時間で置き換えると17時間起きてるので、約1/22が合計時間だった感じですね。何故なのでしょうか?考えてみます。



何故、飽きたのか?

まずは、当時の環境を思い出します。
時代は2008年。
音楽視聴環境は、iPod(iTunes)、着うた、TV、YouTube、ニコニコ等。まだまだ音楽番組が元気でした。
ちょうどiPhone 3Gが発売され、ガジェット好きだった私はすぐさま購入!ただ、容量が小さいのでiPod Classicに曲をありったけ突っ込んでました。
話はずれますが、このサイト最高でしたね。

曲のクオリティは日本最高峰なのに、何故飽きてしまったのか?
2つの理由があると、今は思います。

1つ目は「単純接触」
MVを見るわけでも、ライブ映像を見るわけでもなく、単純に曲だけを聴き続けた。雑誌を漁ってインタビュー等を読むわけでもなく。
さらに、私の場合は自主的な能動視聴ではなく、無理やりな受動視聴だったこともあるでしょう。そこが苦手意識の源な気がしてます...

2つ目は「選択肢の無さ」
私には当時、ミスチルさんの「他の選択肢」がありませんでした。時代はiPodなので入れる曲は自分で決めます。容量問題もありましたし、ミスチルの曲は入っていなかったと記憶しています。
そうなんです。「他の曲」を聴きませんでした。今みたいにサブスクやYouTubeに曲はアップされてませんし、わざわざツタヤに行ってレンタルしたり、店で売ってた『SUPERMARKET FANTASY』を買って聴くこともしませんでした。「HANABI」、「エソラ」をきっかけに数々の名曲を聴いていれば全然違ったでしょう...

はい。お待たせしましたが、いよいよここからが本題です。
時代は変わりましたが、本質的に「急激な注目(ヒット)」も同じだと考えれます。大型プレイリストINやフックアップ、タイアップによって急激に注目が集まり、短期間で繰り返し自分の曲が聞かれる。そして、飽きられる...
そうならない為に、必要なことは何が必要かまとめてみました。



飽きられないために、何をすべきか?

一発当たること自体が物凄いことなのですが、下記の準備をしておくのがいいと思います。

1. アクセス可能な曲の選択肢を増やす
2. 曲の楽しみ方を増やす
3. 曲以外の楽しみ方を増やす
補足. YouTubeのリターゲティングリスト設定

1.アクセス可能な曲の選択肢を増やす

こちらに関してはその名の通りですね。
ヒットソングが出た時「曲の選択肢が多く、その曲にアクセスできる」というのが非常に重要です。
2018年、19年に大きく躍進したあいみょんさん、Official髭男ディズムさん、King Gnuさんのヒットとその時の視聴可能楽曲数をまとめました。
左が視聴可能楽曲数、右がYouTubeです。

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ヒットソング時の視聴可能楽曲総数
 あいみょん:39曲、YouTube 15コンテンツ
 Official髭男ディズム:43曲、YouTube 25コンテンツ
 King Gnu:23曲(Sir.Vinci含めると38曲)、YouTube 11コンテンツ

着実に歩んできた3組はマスヒットした時、クオリティの高い楽曲をかなりリリースしていました(既に音楽シーンでのヒット曲も多数)。そして楽曲をMVやAUDIO VIDEO、リリックビデオと色々な形態をとりながら、無料でアクセスできるYouTubeに公開しています。
この「アクセス可能な曲の選択肢を増やす」が1つ目に重要なことです。

彼らは着実に上り詰めてますが、新人アーティストが突如ブレイクすることもあると思います。その場合は、
1. 毎月新曲リリース
2. プレイリスト作る

が有効です。

1. 毎月新曲リリース
VaundyさんはYouTubeにアップした「東京フラッシュ」がキッカケでしたが、毎月ペースでとんでもないクオリティの楽曲をリリースしましたね。アルバムが楽しみです!

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2. プレイリスト作る
もう1つは、プレイリストを作っちゃうことです。
こちらも注目のMomさんは既に楽曲数も、クオリティの高い曲もいっぱいありますが、まだ曲が少なかった頃にこんなプレイリスト作ってます。

「タクシードライバー」という曲と合わせて、このプレイリストを公開していました。自分のルーツを知ってもらう目的もあったでしょうし、セレクトセンスから好きになってもらうこともできたでしょう。個人的にこのプレイリストたまらんです!



2. 曲の楽しみ方を増やす

次に「曲の楽しみ方増加による、イメージ付加」ですね。
上記ともリンクしてきますが、曲の楽しみ方を増やします。
・MV
・リリックビデオ
・ライブ映像
・デモソングのサブスク配信
・楽曲制作ドキュメンタリー
・セルフ解説動画

etc...
「曲を聴く」以外の選択肢を増やしてあげることです。そして上記同様アクセスのしやすさ・アクセス導線が非常に重要です。こうすることで、「曲にイメージや情報、文脈が加わります」これが非常に重要です。
PUNPEEさん「タイムマシーンにのって」と言われると、あの素敵なMVがイメージされますよね。そういうやつです。「タイムマシーンにのって」は様々なオマージュが入ることによって、さらに文脈が加わってますね。

髭ダンさんがやってた、旧譜キャンペーンのビデオもめちゃくちゃ最高ですね。売れたタイミングで過去作の販売促進を行うことを、旧譜キャンペーンというのですが、そこに合わせてビデオ作られてます。

スタジオ撮影でコストも落としてますし、こういうMVとのメリハリ素晴らしいですね。



3. 曲以外の楽しみ方を増やす

そして「曲以外の楽しみ方増加による、文脈追加」です。
例えば、このようなアーティスト(人)を知ってもらうような活動です。
・ZIN発行
・ラジオ番組(Podcast・YouTube)
・インパクトのある活動でニュースを作る
・アーティストドキュメンタリー(作品ではなく、人)
etc...

元・毛皮のマリーズ、現・ドレスコーズ の志磨遼平さんは、the dresscodes magazineという形音楽メディア化してますね。メディアから個人へ時代なので、この取組はとても素敵だと思います。

そして、ラジオ番組作っちゃうのもとてもありだと思います。
Podcastはコンテンツ消費時間が長いことから注目されてますね。
こちらはメディアですが、

Tempalay・小原綾斗さんと、放送作家・宇野コーへーさんによるPodcast

そしてニュースを作ることも重要。
ニュースには2通りありますね。
1. 権威付ニュース
2. 自ら作るニュース


権威付ニュースは、タイアップや大型番組の出演、大型アーティストとのコラボとか色々ありますね。

自ら作るニュースには、ナタリーやオリコンに掲載されるようなニュースを作り続けることです。最近はBiSHさんのニュース作りが素晴らしいですね。



補足. YouTubeのリターゲティングリスト設定

そして、重要な補足です。これをすぐにでも初めてほしい。というのがYouTubeのリタゲリスト制作です。「指定の期間、指定のビデオを見た人のリスト」を保有できます。
「今すぐ広告はうたない」、「YouTubeの広告うざいから絶対やらない」という想いもあると思いますが、リストを作るのはタダですので絶対に作っておくことをオススメします!機会損失してしまいますので...

ステップは下記です。
それぞれリンクつけておきます。
1. Google広告アカウントを取得
2. YouTubeアカウントと広告アカウントをリンク
3.リストを設定

リストでできるのは下記のリスト×期間設定です。

1. チャンネルの動画を視聴
2. 特定の動画を視聴
3. チャンネルの動画を(広告として)視聴
4. 特定の動画を(広告として)視聴
5. チャンネル登録
6. チャンネル ページにアクセス
7. チャンネルの動画を高く評価
8. チャンネルの動画を再生リストに追加
9. チャンネルの動画にコメントを追加
10. チャンネルの動画を共有

例えば、もし自分がSIRUPさんを担当していたら、こういう風なリストにします。仕様がバシバシ変わるので、ちょっと変わっている部分あるかもしれませんのでそこはご了承を。

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このリストはGoogle広告(YouTube / Googleのバナー広告 / 検索広告)をフル活用するために作ります。
Google広告ではこのリストへの配信と同時に、このリストの除外が可能です。つまり、コアファンリストを作ればそのリストを除外して配信することが可能になります。(webサイトでもできます)

ですので、目的は2つですね。
1. 新規ファンの獲得
2.休眠ファンの復帰

その為には「このリストはコアファンのリスト」、「このリストはこれまで聴いたことのあるリスト」とそれぞれ何の為に作るのか。意思を持って作ることが重要です。

今度ここについては詳しく説明しますね。
まずは、リスト制作を絶対オススメします!



まとめ

めちゃくちゃ長くなってしまいましたが、飽きられないために、
1. アクセス可能な曲の選択肢を増やす
2. 曲の楽しみ方を増やす
3. 曲以外の楽しみ方を増やす

が非常に大切です。
ぜひ、チャレンジしてみてくださいね。
1曲がどれくらいの期間に聴くと飽きられてしまうかは、Apple Music / Spotifyのデータ活用すれば出てくると思います。曲による差は勿論ありますが、調査してみたいですね。

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