俺と女神と小悪魔と あとがき

 約5ヵ月に渡って不定期連載していた小説が、昨日ついに最終回を迎えた。本来なら今年度いっぱい続く予定でいたのだが、ずっとふわふわしていたラストシーンがやっと固まった。そうなればもう筆は止まらない。ラストシーンに向けて前後の構成を考えるのに時間は要したが、なんとか形になった。

 先に言っておくが、私は今まであとがきというものを書いたことがない。なので作品がどうやって生まれたかというエピソードをもって、あとがきとさせていただきます。

 私はいつも、音楽から小説の出発点を見出している。今回参考にしたのはNEWSの「さくらガール」。主人公の龍一とヒロインの美月が出会うシーンなんかは歌詞を映像化しようというくらいの気持ちで書いた。
 だが、「さくらガール」をベースに最後まで書こうという考えはすぐに捨てた。理由は単純。別れを歌った曲だったからだ。私のクリエイターネームがドラゴンで、主人公の名前が龍一。もうお分かりだと思うが、主人公のモデルは私である。だから展開を決めていく時も「この状況に自分が置かれたらどういう行動を取るだろう?」ということだけを基準にしていた。そして当初の予定では、ラストシーンで龍一と美月は二度と会えなくなるはずだった。そして龍一が絶望の淵に落ちていく……というオチのはずだった。
 しかし、私はあることに気づいた。
 龍一が不幸になるのは構わないけど、それだと美月まで不幸にしてしまうな、と。
 私は小学生の頃から小説をたくさん読んできたが、嫌いな話には共通点があった。それは、メインキャラクターの女性が悲しい結末を辿ること。特に恋愛を描いた小説やドラマで「ヒロインは結局誰とも結ばれませんでした」というラストは吐き気がするほど嫌いだ。
 自分で自由に作ることが許される小説という世界の中ならば、実際には到底あり得ない夢物語を紡いだっていいじゃないか! とその時思った。だからラストをハッピーエンドに変更することを決めた。

 急に変更を決めた分、苦労もあった。それも些細なものではなく、ラストを真逆にするというものだったからとても苦労した。最初から書き直せばよかったのだろうけれど、私としてはどうしてもあの設定のままの龍一と美月に幸せになってほしかったのだ。だから自分でもラストシーンの具体策が見つからないまま、4話まで進んでいった。この頃から「青春ブタ野郎シリーズ」という小説シリーズを読み始め、文章が少し柔らかくなってきたと自分では思っている。それまでは東野圭吾や横溝正史ばかり読んでいたので硬い文章だったはずだ。

 ラストが思いつかない。そんな最悪な状況から抜け出させてくれたのは、親友のNさんだった。実はこの作品中には、彼女との会話をヒントに作ったシーンがいくつもある。私とNさんの出会いが10代の時だったので、会話の空気感など参考にさせてもらった(もちろん本人も知っているし、自分の話したことが私の作品に登場することを喜んでくれている)。
 Nさんが体調を崩したと聞いたから、幸せいっぱいの展開が書けなくなった時期もあった。私が落ち込んだのが原因だ。
 でも先日、彼女と話して分かったことがあった。「あの時の幸せな、満ち足りた気分をそのまま作品にすればいい」ということだ。
 だから、Nさんとの数年ぶりの再会の感動を、10年間離れ離れだったカップルの再会に置き換えるだけにした。
 ちょっと恥ずかしかったがリアリティを出すために、私に彼女ができたらしてみたいことをリアルに書いてそれをラストカットにしてみた。それがほっぺぷにぷにのくだりである。
 私のキャッチフレーズは「見た目は大人、思考は中2」だと思っている。キスやその先のことなんかは現実味のない話で、ほっぺぷにぷにくらいがちょうどいいラインなのだ。
 何人かの女友だちに「ほっぺぷにぷにってどう思う?」と聞いたら「それくらいならさせてあげてもいい」という答えが返ってきた。どう思うか聞いただけでこっちの思惑はバレバレだった。だが結果的には、初々しいカップルが演出できてよかったと思っている。

 最後に、直接協力を頼んだことはないけれど要所要所で執筆の力になってくれたNさんに心からの感謝を伝えたい。彼女の誕生日がもうすぐで、それまでに最終回をアップするのが密かな目標だった。ここまで頑張れたのはNさんの力がとても大きい。Nさん、改めて、ありがとうございました!

 そして読者の皆様にも感謝を。もらえたコメントは少なかったけれど、たくさんの方に読んで頂けたと信じています。次回作の構想もありますので、続報はもうしばらくお待ちください。
 そして、タイトルに小悪魔といれたくせに小悪魔キャラを出せず、最終回で無理矢理ワードだけ出してすみませんでした!
 こんな穴だらけの小説に付き合って下さり、本当にありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?