スポットライト 第3回
1 泣いて、疲れて、眠って、また起きたら泣いて。そんな1日をどれくらい過ごしたか分からなかった。もう記憶すらない。久しぶりに自分の意識というものを自覚したのは、ある人物の訪問がきっかけだった。
「浩一くん、連絡が取れないから心配したんだよ。君まで死んでいなくてよかった」
香凜の父、武さんだった。まだ結婚したわけでもなかったのに、交際を報告した当初から何かと僕を気にかけてくれていた。
「まあ、元気とは言えませんけど、なんとか生きてはいます。毎日泣いてますが」普段ならこんな言い