【ドラゴンのエッセイ】夏休み特別編 「古畑任三郎シーズン4」を妄想してみる

 前回、次はポップなネタで行くと宣言した。それがこの企画だ。
 まだ何が始まったのか理解できていない読者も多いと思うので、まずは説明からしていこう。


古畑任三郎とは?

 そもそも古畑任三郎とはなんなのか分からない人も多いと思うが、これは刑事ドラマのタイトルだ。タイトルであると同時に、主人公である刑事の名前でもある。脚本は三谷幸喜さん。最近だと大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が大きな話題になった、あの三谷幸喜さんだ。

 俺は古畑任三郎シリーズが大好きだった。リアルタイムでは見ていないが、小中学生の頃に夕方の再放送枠で何回もやっていたのだ。
 シリーズといっても「相棒」や「科捜研の女」のように回数を重ねているわけではない。連続ドラマで断続的に3クール、そこに単発のスペシャルを加えても全43回で終了している。

好きな理由

 俺が古畑任三郎シリーズを好きな理由は非常に単純。役者さんの演技に集中して作品を見られるからだ。
 通常の刑事ドラマや推理小説では、視聴者(読者)は「この事件を起こした犯人は誰か?」という視点から物語を楽しむことが多い。だがこのドラマでは、冒頭に犯人が罪を犯す様子が描写される。その捜査を担当するのが古畑任三郎一行というわけだ。
 もちろん犯人は最初から分かっているが、じゃあどうしてこいつが犯人なんだという視点から推理を展開させる楽しみは残る。しかし俺にはその点以上に魅力的なポイントがあった。犯人役の役者さんと古畑役の田村正和さんの演技対決に集中できるということだ。
 ここで、これまで犯人を演じた役者さんを一部挙げてみよう。シーズン1初回の中森明菜さんに始まり、堺正章さん、笑福亭鶴瓶さん、沢口靖子さん、玉置浩二さん、藤原竜也さんなどがいる。ジャニーズでいえば、SMAPが全員で犯人を演じたこともある。俺と同世代の方々はピンとこない役者さんも多いかもしれないが、どの人も芸能界のレジェンドと言っていい人たちである。
 古畑役の田村さんは、放送当時すでにレジェンドと言われていた。犯人役は役者としてはいわば中堅くらいの人が多かった。レジェンド田村正和VS旬な役者という構図で、双方の演技が存分に堪能できる構成だった。3シーズンで終わってしまったのは残念でならない。

企画主旨

 シリーズの終了が明言されてからも、何らかの形で復活するんじゃないかと楽しみにしていた。しかし数年前に主演の田村正和さんが亡くなってしまったため、オリジナルキャストでの新作発表は不可能になってしまった。三谷さんも「古畑を僕に書かせてくれたのは、紛れもなく田村さんです。田村さんがいなくなってしまった今、古畑任三郎が事件現場に戻ってくることはもうありません」というコメントを発表している。その後三谷さんが小説という形で新作を発表したが、映像作品として「古畑任三郎」の新作を見られることはもうないだろう。
 しかし、妄想するのは自由だ。ということで今回は、1シーズン10話分の犯人役を考えてみようと思う。とは言っても俺はトリックを考えられるほど頭が柔軟ではないので、あくまで犯人役とその役者さんに似合いそうな設定(犯行シーンまでのあらすじ)だけ考えてみる。そして役名まで考える余裕はなかったので、役者さん本人の名前を使わせていただいた。
 それでは、俺の長年の夢に少々お付き合いください!

第1話 小栗旬さん

 もしも古畑の続編が決まったら、絶対にゲスト出演してほしかったのが小栗旬さんだ。彼にはどちらかというと、計画殺人が似合う気がする。動機は家族を守るため。設定はクリーンを売りにしている政治家だ。そして実際にクリーンで、週刊誌にすっぱ抜かれるなんてことはなかった。自分自身は。
 中学生の息子が不良に絡まれているところを、記者に撮影されてしまったのだ。記者はどうしても息子に話を聞きたいという。上司からは止められているのに、だ。
 父親として息子を問い詰めたい気持ちもあった。しかし今まですべてに気を配って生きてきたのに、息子の反抗期が原因で失脚するなど考えたくもなかった。
「私の中の正義に嘘はつけません」。この言葉で、説得は不可能だと悟る。そして、彼は記者の殺害を決意した。

第2話 山田孝之さん

 俺の中での彼は、「闇金ウシジマくん」のイメージが強い。実際見たことはないのに、宣伝映像だけでイメージが強く残っている。
 というわけで、山田さんには借金取りに追われる役を演じてほしい。返すあてがないわけではないがそのあてというのがギャンブルで、そういう時に限って大損してしまう。いよいよどうにもならないぞという頃になって、借金取りを殺してしまえという結論に至るわけだ。
 もちろん借用書があるわけだからそれも盗む。データが入ったUSBも一緒にだ。こうすることで自分以外の借金を抱えていた人間も全員容疑者ということになる。

第3話 大島優子さん

 大島さんにはぜひ、女優役を演じてほしい。それも映像の方ではなく、舞台女優だ。あらすじはこう。

 その日古畑は、舞台を観に来ていた。推しの女優がヒロインを務めることが分かり、急いでチケットを入手した。ちなみに「推し」という言葉を覚えたのは、部下の今泉の影響である。
 ところがいざ開演してみると、ヒロインの女優が変わっている。「あれ〜、おかしいなぁ」と困惑する古畑。
 実は犯人の大島さんが、主役の座欲しさに本来の主演女優に毒を盛っていた。効き始めるまでに時間がかかる毒で、舞台の開演時間直前くらいに体調を崩し、終演までには死に至る。これでアリバイは完璧と思われたが……。

第4話 風間俊介くん

 ジャニーズ屈指の演技派と言われる風間くん。ぜひ犯人役を演じてほしい。

 風間くんは高校教師という設定。優しくて生徒をあまり怒れないタイプの先生だ。だがその性格が災いし、クラスのリーダー的な女子生徒からいじめのターゲットにされてしまう。
 本当は自分が担任している生徒全員に恨みはある。だが一番許せないのはリーダーであるあの女だ…‥。
 そんなことを考えていた矢先、「淫乱教師」という言葉と共に彼の全裸写真が出回った。もちろんフェイクだ。そして、犯人は絶対にあの女だ。
 風間くんは必死になって彼女に投稿を消すよう頼むが、「デジタルタトゥーっていうのがあってね。もう消しても無駄」と一蹴されてしまう。風間くんは衝動的に彼女を絞め殺してしまった。

第5話 山田涼介くん

 まさかの2連続ジャニーズでごめんなさい。でも中学生時代の古畑を演じた山田くんと現在の古畑の共演が見たくてキャスティングした。なのでこの回に関しては、細かい犯罪のディテールはあまり考えていない。ただ、誰か特定の被害者がいるのではないパターンも面白そうだ。例えば爆弾テロを企てるとか。

第6話 阿部寛さん

 阿部さんといえば、濃い顔のイメージ。なので外国で出会った犯人という設定にしてみた。
 殺人実行直後に海外に逃亡してしまう阿部さん。古畑は証拠を固め、空港で阿部さんを待ち構える。他の捜査員は誰も真相に辿り着けず、古畑だけが阿部さんと直接対決することになる。

第7話 芦田愛菜さん

 古畑任三郎というドラマは「名俳優VS田村正和さんの演技対決」がテーマなので、若年層の役者が犯人を演じることが少ない。特に学生の犯人というケースは今までなかった。というわけで芦田愛菜さんをキャスティングした。

 芦田さんの役どころは名門女子校の生徒会長。清廉潔白容姿端麗が彼女のキャッチフレーズになっていた。
 しかしそれは表向きの話で、実際は教師を買収したり、先輩男子との交際を約束したりして生徒会選挙の結果を意のままに操っていた。
 2年のうちはそれで乗り切れたのだが、3年前期の生徒会選挙で不正が対抗馬の生徒にバレてしまう。「生徒指導の先生に報告します」と毅然とした態度で接してくる対抗馬の生徒を、彼女は衝動的に殴り殺してしまったのだった。

第8話 竹内涼真さん

 竹内さんの場合は、彼が殺人を犯すのはお芝居でも想像しづらかった。なので被害者の死因は事故か殺人か曖昧になるようなものにした。

 竹内さんは平凡なサラリーマン。奥さんと子どもと3人で平穏に暮らしていた。唯一の問題は、同期入社した中学の同級生。彼女は竹内さんが結婚したことを知っても、彼と結ばれることを諦めなかった。それどころか執拗に付き纏い、「奥さんと別れなければあなたがストーカーだと嘘の告発をしてやる」と脅してきた。どうやら上司たちもすでに抱き込まれているようだった。
 そこで竹内さんは彼女と話し合い、不本意ではあるが金で解決を試みる。ところがこういうケースは要求が一度では終わらない。耐えかねた竹内さんは彼女を公園に呼び出して、公園の階段で足を踏み外してくれることを期待する。わざと大雨予報の日を選んで「君を選ぶことにする。今夜デートしよう」と誘ったのだ。

第9、10話 綾瀬はるかさん 2話連続エピソード

 最終回は2時間の拡大スペシャル。つまりひとつの事件で3時間やるということだ。実は古畑最新シーズンを妄想しようと思った時、最初に浮かんだのがこのエピソードである。

 綾瀬さんの役どころは富豪令嬢。船の上でのパーティーを主催し、参加者9人を次々と殺していくというストーリーだ。
 ここで、古畑シリーズのもうひとつの特徴に触れたい。それは、被害者役も豪華だということ。過去には板尾創路さんや小日向文世さん、藤原竜也さんは犯人であり被害者でもあるという役を演じた。
 そこで今回は被害者役も豪華にいきたい。菜々緒さん、木村文乃さん、山下智久くん、山田裕貴さん、福士蒼汰さん、広瀬すずさん、上白石萌歌さん、高橋一生さん。そして最後は、大泉洋さんだ。何人か綾瀬さんと共演経験のある人を入れつつ、オールスターキャストというのを妄想してみた。

 さて、肝心の古畑登場以降だが、綾瀬さんは船には乗っていない。パーティーを終えて目的地に着いた船で、9人の遺体だけが発見される。それも全員殺害方法や凶器がばらばら。古畑はこの謎をどう解くのか?

まとめ

 最終的に結構長くなった上に、導入部だけ書いてトリックやら何やらは放置という「これは妄想と言えるのか?」というような感じだが、一応連続ドラマ1クール分は妄想できた。
 これを読んで「古畑任三郎」が気になった方は、現在FODやTVerで配信中らしいのでぜひ見てみてほしい。

 そして、7月後半から毎日やってきた「大人の夏休み」だが、予定していた企画がすべて終了した。みなさん、今日までお付き合いありがとうございました!
 まあ実を言うと、俺の長い休みはまだ終わる気配すらないのだが。明日以降は連載中の小説の最終話の執筆に取りかかる予定である。遅くとも来月中には投稿するつもりなので、乞うご期待!

 ご意見ご感想、いつでもお待ちしております! コメントでもサポートメッセージでも、きちんと読んだ上でお返事させていただきますのでぜひ!
 以上、ドラゴンでした🐉
 また次回お会いしましょう!

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