デンマーク→スウェーデンへの移住と音楽①

私が”海外で音楽やってみたい”って思い始めたのは30歳の時。
海外かっこいい!なんて思うどころか、海外旅行なんてしたこともなかったし、一人で大丈夫かよ…としか思えなかったけど、それでも違う空気を感じてみたかった。当時の私はそれくらい音楽に苦しんでいた。

私がリーダーバンドをやっていたころ、自分ですべてを取り仕切らなければいけない、作曲も、アレンジも。スタジオの予約とか事務的なことも。
もちろん、これが全ミュージシャンに当てはまるわけじゃなく、たまたま運が悪かったんだと思います。

メンバーは生活のためにいくつもバンドを掛け持ちして、一つ一つのバンドの楽曲に対して均等に熱意を注ぐというより、環境の良い(集客やギャラ)の現場へのやる気だけが高い人が多かった。そこにのしかかるスタジオ代と限られたリハーサル時間。貧しいミュージシャンあるある。
効率的に事を回していくには自分がしっかりと事前準備をしていかなければいけないのに、自分にはその能力がたりない。

ある日ふと、
”海外ではどんな風にバンド内で楽曲を制作するのかな?”
バンドとメンバー個々の在り方に興味がわいた。きっとバンドメンバーで仲良く音出しながら曲つくるんじゃないか、そんなイメージがあった。
ミュージシャンというより、バンドマン的なスタイル。

実際、2012年にデンマークへ行ったんだけど、これは私の人生の中でベストな選択だったと思う。

私が通ったデンマークの学校には18歳以上の若者が音楽、ダンス、演劇やサーカスなど、様々な形の芸術に没頭していた。
こなれていない、ただただ活気に満ちた学生からはたくさんのアイディアが生まれ、それに対して「こうしたらかっこいいかも!」と自分のアイディアを提示できた。
そこには否定なんてものはなくて、すべてがその人の個性として受け入れられ、ただひたすらトライ&エラーを繰り返せる。
なんとも健康的かつ建設的な現場だった。これぞ私が求めていた場所。
時間の制約もなく没頭できる。ストレスフリーな場所だった。

その環境に浸かると、自然とアイディアも湧いてくるし、誰かに聴いてほしいという欲も出てくる。とにかく楽しい学校生活だった。

自分の中の自己肯定感、音楽への熱意を取り戻すことは、
楽器の技術や理論なんかを学ぶよりもよっぽど大切だと気付かされた。


約半年間の国民学校(フォルクホイスコーレ)での生活を終え、翌年スウェーデンへ移住。
しかしスウェーデン語ができないと生活するのは難しく、そこからしばし語学学校へ通うこととなります。

(続く)



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