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(音楽話)29: NL Orchestra ft. Simone Lamsma “Schindler’s List” (2017)

【想い】

NL Orchestra ft. Simone Lamsma “Schindler’s List” (2017)

映画音楽の小作品を、オーケストラで。名作「シンドラーのリスト」のテーマ曲です。

「ニューシネマ・パラダイス」の”Se”同様、この映画の音楽も私は問答無用で泣いてしまいます。希望の光と底無しの暗闇が交差するような感覚に陥り、毎回心が掻き乱されます。じゃあ聴くなって話ですが、歓喜も憤怒も哀愁も快楽も全て持ち合わせたかのようなこの曲は、たまに無性に聴きたくなるのです…面倒くさくてすみません。

調べてはみたものの、NL Orchestraについては良く分かりませんでした。オランダのオーケストラではありますが、どのオーケストラで、いつの演奏かも不明。ただ、この映像には物語があることだけは分かりました。

演奏冒頭からイングリッシュ・ホルン(コーラングレとも言います)を吹いている女性、Davida Scheffers。演奏家として活動していましたが、当時、顔面リウマチと診断されキャリアを断念する危機にありました。しかし悔いを残したくない彼女はオランダのオーケストラのコンクール・プログラムに応募。審査員だったヴァイオリニストSimone Lamsma(Simoneは実際に原曲でもヴァイオリンを弾いています)がDavidaの演奏に感動し合格となります。そしてオーケストラとの共演が実現し、このソロパートを担当することになったのです。

流麗に流れていく静かな旋律の中で、Simoneはシンドラーの揺れる心境を表現しているように思いますし、Davidaはその時代背景や景色をセピアな表情で表しているように思います。自身のパートを終え、人目憚らず涙するDavida。時々映り込む客席の金髪女性はDavidaの娘らしく、しかも演奏した日が誕生日だったとか。娘に母の演奏家としての晴れ舞台を見せたい、誕生日のプレゼントとしてーーー楽曲の世界観とは全く違う情景ですが、「想い」という共通点がシンクロして、観る者の涙腺が崩壊します。

クリスマス前、この時期になって今年を振り返ってみた時、皆さんのリストには何が載ってますか?私のリストには多くのものを失った喪失感と絶望が多く途方に暮れますが、次への僅かな期待を胸に生きるしかないとも思っていますーーーとはいえ毎日揺れているんですが笑

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