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(音楽話)23: 岩崎宏美 “思秋期” (2000)

【苦味】

岩崎宏美 “思秋期” (2000)

皆様ご存知、岩崎宏美。1974年に「スター誕生!」で8社からプラカードが上がり、翌75年に17歳でデビュー。キャッチ・フレーズは「天まで響け 岩崎宏美」。ちなみに同期は太田裕美、岡田奈々、片平なぎさ…豪華。
“ロマンス””センチメンタル””シンデレラ・ハネムーン””万華鏡””女優””聖母たちのララバイ”など、数々のヒット曲。ミュージカル出演も多数で有名なところでは「レ・ミゼラブル」、「屋根の上のヴァイオリン弾き」など。80年代は女優としても活躍。幅広い守備範囲は、中学時代に水谷八重子(先代)の部屋子だったことに起因するかもしれません。いわゆる天才少女。妹・良美も有名ですよね…なんて、皆さんの方が間違いなくお詳しいと思うのでこれ以上は書きません、失礼しました大汗

この映像は2000年、恐らくNHK歌謡番組の一コマ。映像自体が昭和な空気感満載なのですが2000年=平成です。なんでだろう…?曲は”思秋期”、昭和52年(1977)通算11枚目のシングル。作詞・阿久悠、作曲・三木たかし。言わずと知れた、昭和歌謡界ゴールデンコンビのひとつ。”津軽海峡・冬景色””また逢う日まで””舟唄””夜桜お七””時の流れに身をまかせ””北の宿から””北の蛍”…すげぇ。
”思秋期”もまた、実に見事な曲構成、歌詞構成、メロディの送り方。さらに本映像での生演奏アレンジも素晴らしい。間奏に入ってくるミュートをつけたトランペットの音色…ズルい…。そして歌う岩崎(当時42歳)の圧倒的な歌唱力は、言うまでもありません。声が張ることの正義は当然のこと、表現力や歌詞の切れ目への心配りなど、細かい点含めて恐ろしく完成された歌唱。私は「せ〜いしゅ〜んは〜」が裏声、「こわ〜れ〜もの〜」が表声というメリハリ・切替に毎回痺れてます。

あまりに有名な曲ですが、どうぞじっくりお聴きください。リリース時19歳の彼女の「リアル」ではなく、経験を得た40代の彼女が示した「あの時の熱」。青春を思い出す時に感じる苦味。是非。

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足音もなく行き過ぎた
季節をひとり見送って
はらはら涙あふれる 私十八

無口だけれどあたたかい
心を持ったあのひとの
別れの言葉抱きしめ やがて十九に

心ゆれる秋になって 涙もろい私
青春はこわれもの 愛しても傷つき
青春は忘れもの 過ぎてから気がつく

ふとしたことではじめての
くちづけをしたあのひとは
ごめんといったそれきり 声もかけない

卒業式の前の日に
心を告げに来たひとは
私の悩む顔見て 肩をすぼめた

誰も彼も通り過ぎて 二度とここへ来ない
青春はこわれもの 愛しても傷つき
青春は忘れもの 過ぎてから気がつく

ひとりで紅茶のみながら
絵葉書なんか書いている
お元気ですかみなさん いつか逢いましょう

無邪気な春の語らいや
はなやぐ夏のいたずらや
笑いころげたあれこれ 思う秋の日

(岩崎宏美 “思秋期”)

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