(ライヴ体験記)02: saya@Live Spot RAG (Dec. 16 2020) (配信ライヴ)
【豪奢な夜】
saya Xmasライブ | 20201216 from Live Spot RAG (京都)
saya (Vo) 芳野藤丸 (Gt) 塩入俊哉 (Pf) 齋藤順 (B) 渡辺豊 (Drs)
***Set List***
1 Have Yourself a Merry Little Christmas
2 「クリスマス・メドレー」
All I Want for Christmas Is You
Walking in a Winter Wonderland
Jingle Bell
Silent Night
Santa Claus Is Coming to Town
3 アヴェ・マリア^
4 Bad City+
5 Lonely Man+
6 「オールナイトニッポン・メドレー」
いちご白書をもう一度
会いたい
(ヒゲダンス)
天城越え
異邦人
木綿のハンカチーフ
YOUNG MAN (Y.M.C.A.)
7 魅惑のセレナーデ*
8 Andalusia アンダルシア*
9 約束*
Encore:
10 アメイジンググレイス*
(*sayaオリジナル +芳野オリジナル ^塩入オリジナル)
**************
時期的にクリスマス・ソングを入れてくると思ったが、”Have Yourself a Merry Little Christmas”でスタート。抑えた演奏でジャジーに空気を震わせ、sayaもしっとり歌う中、芳野のギターソロがブルース色に染める。塩入のピアノソロもそこに引っ張られる形でジャズとブルースの間を縫う。さらに「クリスマス・メドレー」5曲。芳野以外はサンタ帽を被って演奏…待て、塩入は…トナカイ!?せんと君!?…まぁいい笑 イントロでsayaの鈴の振り方が巫女さんのそれに見えて「正月感?」とちょっと笑ってしまったが、弾む歌声の中にしっかり中音域が響く彼女の声は聴いていて安心する。”All I Want for Christmas Is You”から”Walking in a Winter Wonderland”への移行のコード進行は非常に興味深かった。リズム隊の軽やかに安定する様は余裕たっぷりだし、芳野のギターは場の空気をよりゴージャスに織り込んでいく。贅沢。
塩入版“アヴェ・マリア”は、齋藤のベースによるイントロが瞬時に温かい哀愁を醸成。マレットに持ち替えてシンバルを震わせる渡辺の演出、さりげなくフレーズを入れてメロディをサポートする芳野。匠だらけの宴。sayaはそこに身を委ねオペラ的声質をもって曲に応えていく。
満を持して芳野、怒涛の2曲。SHOGUNの代表曲”Bad City””Lonely Man”は共にTVドラマ「探偵物語」を象徴する楽曲(ドラマではエンディング・テーマだった”Lonely Man”がシングルではA面)。40年以上経つが色褪せない。ロックの骨組みにポップネスの肉付けは耳馴染みが良い。西城秀樹も惚れたギタリストは、70手前になっても尚ロック然としている。ギターソロでの音の割れ具合、張り、ほぼ手元を見てない奏法…ヤバい。
塩入のSE的キーボード演奏は私的に珍しく、目を皿にして見入る。ロック・サウンドで齋藤のベース(コントラバス)は音粒が立ちにくいから厳しいように思えたがなんのその、しっかり聴こえてくるのはミキシングのせいだけではないだろう、さすが。渡辺…メリハリ、オカズ、少しだけ後ろ…カッコよ過ぎ。”Lonely Man”ではsayaがコーラス参加していたが、彼女のコーラス声は演奏の中にあって目立ち過ぎず、かといって目立たないわけでもない。絶妙。素晴らしい。
配信ライヴ恒例「オールナイトニッポン・メドレー」。テーマは「芳野が収録に参加した曲」。まず、ここまでロックな”いちご白書をもう一度”は聴いたことがない。芳野のギターが段々エロく聴こえてきた(失礼)。”会いたい”はYouTube「チャンネルsaya」で既にカヴァーしているが、バンド形態でよりスケールが大きくなった。
”天城越え”から”異邦人”への切り替えはsayaが一番大変だったろう…”天城越え”はAm、”異邦人”はEm…近いようで微妙に違うからこそつられてしまうリスク。世界観もリズムも異なるが…難なくこなす。余計な心配だったようだ。
“YOUNG MAN”。前述の通り、芳野は西城と組んでいた。西城の方から芳野に「バンドやりませんか?」と誘ったという。歌手が専属バンドを持った始まり。お互いの化学反応が生んだ数々のヒット曲は単に歌謡曲ではなく、ロック色がしっかり練り込まれたもの。この曲もそう思う。永遠性を感じる。
“魅惑のセレナーデ”。渡辺のドラムスにウットリ。Aメロでのパターンの正確さ、サビでの16ビートの拡がり、僅かな後ノリがたまらない。タイトなバンド・サウンドでメロディの美しさが引き立っていたし、軽快なヴォーカルが楽しそう。
”アンダルシア”のアレンジが新しい。ピアノの柔らかいタッチに乗って、大人の空気が立ち込める。芳野のソロが曲に艶を加えることで、sayaの歌の表情がソロの前後で変わったと思ったのは私だけか。
このご時世、益々その意味合いが深まった気がする“約束”。終盤に歌うのは心身キツいのでは…と思ったが杞憂だった。全面に込められた祈り。ライヴハウスの暗さを突き抜けて雲ひとつない青空が眼前に広がる。芳野のギターが入ることでそこに海さえ見えてくる。歌う度に大きくなっていく。
“アメイジンググレイス”で終幕。最後は皆の心を宥めてくれた。鎮魂歌として鳴るこの曲は、歌っているsaya本人の心も癒しているように見えるし、その光景が美しいと感じる。未曾有の今年を「一度は見失ったけど 今ははっきり見えている」と歌ってくれたことに、最大限の感謝を。
演者の皆様、関係者の方々、素敵なライヴをありがとうございました。
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