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これって一発屋なの?

ミュージックバー・ガッファでも、よく話題になる”一発屋”ですが、意外とその定義は難しいんですよね。人によって基準が異なるようで。なので、「このアーティストは一発屋ですか?」と質問されても、答えに困ることがあるのです。

というわけで、今回はガッファで「一発屋だよね」と言われがちなアーティスト(主に80年代)を、その特徴別に分類しながら、”一発屋”について考えてみたいと思います。

参考まで、海外の各種”一発屋ランキング”に入っていた曲は、その順位も記載しておきます。

【一発屋ランキング】

VH1 - アメリカのケーブルテレビ局が2002年に選んだ一発屋

Channel4 - イギリスのテレビ局が2006年に視聴者からの投票で選んだ一発屋

20to1 - オーストラリアのテレビ局が2006年に選んだ一発屋

C4 - ニュージーランドのテレビ局が2006年に視聴者からの投票で選んだ一発屋

1.一発屋といえば

1)The Knack

実はこれ、79年のヒット曲なんですけど(笑)、80年代に近いので、とりあえず挙げておきます。一発屋の話になると、必ず名前が出る代表的存在なので。

ご存じ「My Sharona」!全米で6週1位。79年の年間チャートでも1位という特大ヒット!!

一発屋ランキング 20to1で1位、C4で7位

厳密に言うと、次のシングル「Good Girls Don't」も全米11位を記録してるのですが。おそらく「My Sharona」の勢いで売れてしまっただけ、という感じでしょうね・・・

2)The Buggles

続いて、これも79年なんですけど(笑)、取り上げないわけにはいかないでしょう。なにしろ、MTVで最初に放送された、記念すべき楽曲ですから。ミュージック・ビデオ全盛となる80年代の到来を宣言するかのような一曲。

この「Video Killed the Radio Star(ラジオスターの悲劇)」は、本国イギリスをはじめ、世界16か国で1位を記録。アメリカでは40位止まりだったのが意外。

一発屋ランキング 20to1で3位、C4で8位

続くシングル「Living In The Plastic Age」も全英16位を記録してますが・・・前述のThe Knackと同様、前の曲が特大ヒットとなったおかげで、その勢いに引っ張られた結果ではないかと・・・

このように、チャートに2~3曲ランクインしたことがあったとしても、多くの人々の記憶には1曲しか残っていない場合、”一発屋”と呼ばれてしまうんですよね。

2.これも一発屋ですよね

1)The Romantics

84年に「Talking in Your Sleep」が全米3位のヒット!

同じアルバムからシングル・カットされた「One In A Million」もトップ40に入ったものの、そちらは全米最高37位と振るわず。

2)Stacey Q

86年に「Two of Hearts」が全米で最高3位のヒット!

同じアルバムからシングル・カットされた「We Connect」もトップ40に入ったものの、そちらは全米最高35位と振るわず。

このように、トップ3に入るくらいのビッグ・ヒットを飛ばすと、その次のシングルも注目されて、なんとかトップ40には入るというケースは多かったですよね。でも、その後は続かないという・・・

このレベルのアーティストだと、躊躇することなく”一発屋”と呼んで良い気がします。

3.一発屋と呼ぶのは可哀そう

本国ではヒット曲がたくさんあるのに、アメリカのチャートでは1曲しか売れてない・・・という場合でも、「一発屋」と呼ばれてしまうことがあります。

当時は「ベストヒットUSA」をはじめ、テレビやラジオでも全米チャートの影響力が大きかったと思うので、日本でもそんな傾向があるのかもしれません。

1)Kajagoogoo

83年に「Too Shy」が全米で5位のヒット(全英では1位)!

この曲があまりに印象に残りすぎているせいか、一発屋扱いされてしまうこともある、可哀そうなバンドと言っていいのではないでしょうか?

確かに全米チャートでは「Too Shy」だけでしたが、他にも

「Ooh to be Ah」全英7位

「Hang On Now」全英13位

「Big Apple」全英8位

「The Lion's Mouth」全英25位

など、ファンにはお馴染みの”ヒット曲”がこんなにあるのに!

リード・ボーカルのリマールが1stアルバムだけですぐに脱退してしまったことも、”一発屋”のイメージを植え付けてしまった一因かもしれません。

2)Nena

84年に「99 Luftballons(ロックバルーンは99)」が全米で2位のヒット(独では1位)!

一発屋ランキング VH1で10位、Channel4で2位、20to1で8位

ドイツ語で歌われている曲が、全米チャートの上位に入るのも珍しいのですが、それくらいキャッチーでカッコイイ!

アメリカでは、この曲しか売れてませんが、本国ドイツでは

「Nur geträumt」独2位

「Leuchtturm」独2位

「? (Fragezeichen)」独3位

「Rette mich」独11位

「Irgendwie, irgendwo, irgendwann」独3位

「Feuer und Flamme」独8位

「Nackt im Wind」独3位

など、ヒット曲がたくさんあるのです!

これらの楽曲は、当時日本でも頻繁にFMラジオでかかっていたと記憶してるのですが・・・

カジャグーグーやネーナのような場合、ファンの方は「一発屋じゃない」と思っていても、世間一般では「一発屋だ」と認識されているように思えます。

4.一発屋と呼ぶべきか迷う

さて、問題は次に挙げるようなケースです。

トップ10ヒットが2曲ある場合や、トップ40ヒットが3曲以上ある場合、それでも一発屋と呼べるか?

1)Robbie Nevil

86年に「C’est La Vie」が全米で2位のヒット!

他にも、

「Dominoes」全米14位

「Wot's It to Ya」全米10位

「Back on Holiday」全米34位

「Just Like You」全米25位

トップ40ヒットがこれだけあるということは、「C’est La Vie」のおかげで他も売れたというわけでも無さそうです。実際、売れただけあって、良い曲が多いんです!

しかしながら、ガッファのお客様でも「C’est La Vie」しか知らないという方が、ホント多い!つまり、一発屋だと思っている方が多い・・・

2)Cutting Crew

87年に「(I Just) Died in Your Arms」が全米1位のヒット(全英では86年に4位)!

イギリスのバンドなのに、チャート順位的にはアメリカの方が上だったという、カジャグーグーやネーナとは逆のパターンですね!

もちろんこの曲が印象的であることは間違いないのですが、全米トップ10ヒットがもう一曲あるんです!!

87年に全米9位を記録した「I've Been in Love Before」

ちなみに日本では、このトップ10ヒット2曲をAB面にそれぞれ収録したお買い得な一枚のシングル盤として発売されていたという・・・ ※他国では、別々のシングルとしてリリース

日本盤シングルの詳細

このように、ヒットした曲は複数あるのに、ある一曲の印象が強すぎて”一発屋”と呼ばれてしまうというのは、どうなんでしょうか?

これも、ファンの方は「一発屋じゃない」と思っていても、世間一般では「一発屋だ」と認識されているんでしょうね・・・

5.一発屋じゃありません!!

次に挙げるアーティストを「一発屋でしたね」と言われると、可哀そうというよりも、悲しくなってしまいます。でも、ガッファでもたまにあるので、対応に困ってしまう・・・

1)Paul Young

85年に「Everytime You Go Away」が全米1位のヒット(全英4位)

ホール&オーツのカバーで、全米1位となったわけですが、この印象が強すぎてか、一発屋と言われてしまうことも・・・(泣)

本国イギリスでは、他にもヒット曲たくさんあるのに!!

「Wherever I Lay My Hat (That's My Home)」全英1位、全米70位

「Come Back and Stay」全英4位、全米22位

「Love of the Common People」全英2位、全米45位

「I'm Gonna Tear Your Playhouse Down」全英9位、全米13位

「Everything Must Change」全英9位、全米56位

・・・などなど、他にも多数!!

それだけの実力と人気があったから、バンドエイド「Do They Know It's Christmas?」でスターターを任されたわけで・・・

さすがにポール・ヤングは一発屋じゃないですよね!!

2)a-ha

85年に「Take On Me」が全米1位(諾1位、全英2位)

一発屋ランキング VH1で8位、Channel4で9位 

いやいや、a-haは他にもヒット曲いっぱいあるから!!

と、反論する人が多数いらっしゃいますよね?

そのとおりなんですけど、中には稀にいるのです・・・

「Take On Meだけの一発屋だ」と言う人が・・・

おそらく、衝撃的だった「Take On Me」のPVを強烈に覚えていて、一発屋だと思い込んでいるのではないか・・・と推測してみたり。

念のため、他のヒット曲をちょっとだけピックアップしてみると

「The Sun Always Shines on T.V.」(諾2位、全英1位、全米20位)

「Train of Thought」(諾1位、全英8位)

「Hunting High and Low」(諾10位、全英5位)

「I've Been Losing You」(諾1位、全英8位)

「Cry Wolf」(諾2位、全英5位、全米50位)

「Manhattan Skyline」(諾4位、全英13位)

「The Living Daylights」(諾1位、全英5位)

「Stay on These Roads」(諾1位、全英5位)

などなど・・・本国ノルウェーではたくさん1位になってますし、イギリスでもトップ10ヒットを連発してるじゃないですか!

ポール・ヤングやアーハまでもが一発屋扱いされるのなら、この世は一発屋だらけになっちゃいますよ(笑)!!

ここは声を大にして言いたい!!彼らは一発屋ではありません!!

6.結論

結局、ある一曲だけが多くの人に記憶されていて、それ以外の楽曲の知名度が極端に低ければ、それは一発屋と呼ばれても仕方ないんでしょうね。ファンの方の意見ではなく、むしろファンじゃない方(一般の方々)の記憶に残っているかどうかで判断されるものなのかもしれません。

とはいえ、洋楽ファンとしては譲れないところもありますので(笑)、ガッファ的には「一発屋」と言われがちなアーティストを、以下のように分類しようと思います。

①一発屋

ザ・ナック、ザ・バグルス、ザ・ロマンティックス、ステイシーQなど

②ホントは一発屋じゃないけど、世間的には一発屋だと思われがち

カジャグーグー、ネーナ、ロビー・ネヴィル、カッティング・クルーなど

③一発屋じゃありません!

ポール・ヤングやアーハなど

これまで書いてきた内容で、なんとなくこの違いを理解していただけるでしょうか?

ガッファでは、「これは一発屋ですか?」との質問には、上記①②③の分類でお答えすることにしたいと思います。

というわけで、長々と書き連ねてしまいましたが、ガッファでは”一発屋”のリクエストも、お待ちしてます!

さらに!

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