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#69 ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ『カウンシル・スカイズ』

服部さんへ

 そっか、クリスマスか〜。なんか、「Happy Xmas (War Is Over)」という名曲もあるし、12月になるとジョン・レノンを思い出すんですよね。まあ、クリスマス一色となった街路を、着飾っていちゃついているカップルなんかにとっては、知ったこっちゃないのでしょうがねえ。転べばいいのに。
 さて、グレゴリー・ポーターのクリスマス・アルバムですが、華美ではないといところがいいですね。クリスマスクリスマスしているものが、個人的に苦手なもので。逆にクリスマス作品としては地味な部類に入るのかもしれないけど、歌心がしっかりと伝わってきます。このお方、ゴスペルがルーツだったのですね。それを知って合点がいったし、「Christmas Wish」を聴いて、ゴスペル曲をライヴで体験してみたくなりました。
 追伸。ハマっているという映像ですが、これ最近ですか? フー・ファイターズの2枚組アルバムで共演していたのとは、別の曲! こんなことをしていたとは。このふたり、何気に合いますよね。

ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ
『カウンシル・スカイズ』

 先週、4年ぶりの来日公演で久々に目にした「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」での大合唱の光景が、いまだ脳裏に鮮明に焼き付いている。改めてノエル兄貴に、こんな珠玉の名曲を世に残してくれて、本当にありがとうと言いたい。
 というわけで、リリースから少々経ってはいるが、ノエルの最新アルバムをご紹介したい。なぜあえて取り上げていなかったかというと、ダンス、エレクトロ、サイケに大きく舵を切って攻めまくった前作『フー・ビルト・ザ・ムーン?』とは打って変わって、原点回帰と言うべきアルバムだからだ。前作が賛否両論あった(僕はかなり好き)ことを考えると、きっと多くのファンが安心しているはずだし、自分もいちファンとしてノエル節を堪能していればいいのかなと思った次第。
 しかし、ソロ・キャリアで最もシンガー・ソングライター色が強いであろう今作の曲たちが、聴けば聴くほど味わい深いのだ。改めて、そのメロディメイカーとしての才能とセンスに、恐れ入ってしまう。個人的なお気に入りをひとつ挙げるなら、ギターにジョニー・マーが参加(!)している「プリティ・ボーイ」。

 前作が好きで、実際に何度も聴いていたものの、「こういう兄貴もいるんだよな」という感覚で楽しんでいた気がするし、正直どこを目指しているのかなと訝しがる自分がいたのも確か。こうしてソングオリエンテッドな作品で戻ってきてくれたことで、改めてノエル・ギャラガーという鬼才の本質、真価というものに触れられた気がして、うれしい限りだ。
                              鈴木宏和


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