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#68 グレゴリー・ポーター『Christmas Wish』

鈴木さんへ
 ジョルジャ・スミスを一聴惚れしたとのこと良かったです。彼女ってデビューの時から自身のレーベルで活動しているので、日本のメジャーからアルバムがリリースされることはありませんが、日本仕様の直輸入盤は出ています。
 さて、ザ・ストラッツですが、初めて知りました。たしかに『トゥー・グッド・アット・レイシング・ヘル』の冒頭にギターは、70年代のグラマラスなロックを想起させますよね。彼らって何歳?なんて思いつつ、きっと親が70年代、80年代ロックを聴いていたんだろうなと。壮大な『Hands on Me』とか、ポップな『Do What You Want』などを聴きながら、エアロスミスやボン・ジョヴィの来日公演を思い出したりしています。すご~く表面的な感想になりますが、やっぱりロック・バンドのヴォーカルは、やんちゃな色気がないと魅力的じゃないですよね。そういう点でも鈴木さんがピップアックしたMVは、最高の演出で、お約束のような冒頭の映像に思わず笑いました。これが必要って。
 そして、今回私が紹介するのは12月になったので、クリスマス・アルバムですが、個人的に今ノラ・ジョーンズのセッション動画にハマっているので、そのひとつをレビューの後に紹介しますので、ぜひ観てくださいね。

グレゴリー・ポーター『Christmas Wish』

 今年もクリスマス・アルバムがいろいろ出ているけれど、聴く前からあの温もりある声で歌うクリスマス・ソングは、絶対にいいはずと、グレゴリー・ポーターをチョイスしたんだけれど、もう期待も超えていた。
 まず選曲がいい。『サイレント・ナイト』や『リトル・ドラマー・ボーイ』といった定番曲がありつつ、マーヴィン・ゲイの『Purple Snowflakes』とか、エラ・フィッツジェラルドが歌った『What Are You Doing New Year's Eve?』といったウィンター・ソングもあるので、25日にライブラリー行きになることなく、年内もしくは冬の間は、ずっと聴いていられる。
 さらにアレンジも、演奏もいい意味でクリスマスになり過ぎていない。たとえば、フランク・シナトラのために書かれた『クリスマス・ワルツ』ではピアノトリオの演奏で歌い始めて、間奏でハーモニカが流れると、歌の景色が一変するし、『リトル・ドラマー・ボーイ』は、さまざまなアレンジで歌われてきたけれど、重厚感のあるドラムとゴスペル風コーラスに彩られつつ、グレゴリーが低音の声でアンニュイに歌い始める歌から聖書を題材にしたこの歌の核となる物語を深く理解していることが伝わってくる。

 オリジナル曲も3曲で、クリスマスの食卓や子供の頃の幸せな光景が浮かんでくるような曲と共に、『Everything's Not Lost』では平和を願う心を歌っている。馳せる思いは、それぞれだろうけれど、誰もが世界の紛争地のことが頭をよぎるのではないか。
 前述した『What Are You Doing New Year's Eve?』では今年のグラミー賞で新人賞を受賞し、自らもクリスマスの新作をリリースしたサマラ・ジョイとデュエット。彼女のたおやかで気品ある歌声にうっとりしながら、最後のふたりの掛け合いが洒脱だったりして、極上のロマンティック気分に浸れるのがまたいい。
 母親が牧師だったことから、ゴスペルを歌ってきただけに手拍子風のリズムとコーラスで気分があがる曲もあるので、もし、巷にあふれる華やかすぎるクリスマス・ソングに飽きていたら、ぜひ聴いてほしい。
                            服部のり子

それから最後にこちらが私が今ハマっている映像です。
とてもじんわり温かな気持ちになれるので、つい観てしまいます。


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