#85 ザ・フー『ライヴ・アット・シェイ・スタジアム 1982』
ザ・フー『ライヴ・アット・シェイ・スタジアム 1982』
映像作品のみで発表されていた、ザ・フーの1982年のライヴ音源が、デビュー60周年を記念して(?)オーディオ作品として初リリースされた。
ザ・フーのライヴ・アルバムと言えば、ロック・ファンには言わずと知れた『ライヴ・アット・リーズ』という1970年の傑作があるわけで、しかもドラマーがキース・ムーンなわけで、それを聴けばいい、聴こうよ、聴かなきゃ、という話かもしれない。正直に言えば、自分もそのタイプだ。でも最近、恥ずかしながら初めて本作の映像を観て、いやいやいやいや、ザ・フーじゃん、カッコいいじゃん、ごめんなさいザ・フー、と思った次第。
なぜか「マイ・ジェネレイション」が未収録なこと以外、キャリアを網羅したセットリストの中から、あえてバラードの「Love Reign O’er Me」をお届けしたい。『ライヴ・アット・リーズ』では、聴くことができないし。この曲、僕はロジャー・ダルトリーのヴォーカルはもとより、ピート・タウンゼントのギターが泣けてくるほど好きだ。
そう、キース・ムーン亡き後もザ・フーは続いていたのであり、後任ドラマーのケニー・ジョーンズが元スモール・フェイセズ〜フェイセズということを考えれば、このバンドとマッチしないはずなどないのだ。キースのような狂気(もちろん褒め言葉)こそないものの、鉄壁のプレイで3人をがっつり支えている。
この後、間もなくザ・フーは解散するのだけど、しなくてよかったのではないかと思えてならない。再始動して現在に至っているのも、必然だったのかもしれない。こんなにも素晴らしいバンドなのだから。
鈴木宏和
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?