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なにかが「うまれる」個展。ごとうゆりかが信頼する3人に手渡した「いのち」が循環するーー「夢遊っ子の夢。」座談会【後編】

若い女性を中心に人気を集め、広告や雑誌、舞台、衣裳デザインなど多様な作品を手掛けるごとうゆりか。彼女の自身初となる個展「『夢遊っ子の夢。』僕のアンニュイvol.わんっ」が8月12日から開催されます。

個展にゲストとして参加する根本宗子、小南泰葉、有馬和樹の3名に、ごとうとの出会い、そのユニークな人柄について聞いた前回。後編では、独立して個展を催すきっかけや各ゲストへの依頼内容についてなど、個展の魅力をひも解いていきます。


■「イベントをやりすぎて展示は昼だけって、個展なの?って思いますよね(笑)」

−− 今回の個展「夢遊っ子の夢。」は、イラストレーターやファッションデザイナーなど多方面で活躍してきたごとうさんの過去作品や新作の展示をするという内容です……が、一方で初日から5日連続でトークショーなどのイベントがぎっしり詰まっています。個展としては珍しいスケジュールだなという印象がありました。

根本 イベントをやりすぎて展示は昼だけって、個展なの?って思いますよね(笑)。

ごとう しかも私、お昼の展示中ずっと会場で絵を描く予定で、その間に商品受注もするし、もうわちゃわちゃしてます。

<左からごとうゆりか、根本宗子>

有馬 詰め込みすぎちゃってる感じがいいよね。

−− スケジュールはごとうさんが考えられたんですか?

ごとう そうですね。詰め込みすぎました……。

根本 最初に提示されたスケジュールはもっとすごかったんです。これはさすがに無理だと思うから、ちょっと時間の間隔をあけようかって伝えて、徐々に変わっていきましたね。

小南 頼まれた時のスケジュールから毎日変わっていくのがすごくおもしろくて、たくさんやりたいことが溢れてるんだなぁって感じています。

ごとう イベントを開催するのが初めてだったので、絶対楽しい空間を作りたかったんです。作る側の楽しくさせるぞっていう気持ちは、お客さんにも伝染すると思うので、そこを共有できたらすごく嬉しいですね。

<左から小南泰葉、有馬和樹、ごとうゆりか、根本宗子>

根本 ゆりかちゃんが一番ワクワクしてる感がある。

有馬 それがいいよね。

小南 六日間も一人を囲んでトークショーをやりながら個展もやるってどんなことになるんだろうと思っていたけど、前売り券があっという間に完売したのを見てビックリしました。ほんとに素晴らしいなと。

−− 当日券はあるんですか?

根本 あります!

有馬 え?

ごとう あ、私チケットの管理が一切できないので根本さんにお願いしてるんです。

有馬 そういうことか(笑)。

小南 お昼は在廊しながら対応するの?

ごとう 会場のど真ん中にテーブルを置いて、絵をずっと描いてようと思ってます。出来る限りお客さんとも話したいので、みなさん気軽に声をかけてもらえたら嬉しいです。

有馬 詰め込むね〜。

■「私ありきで求めてくれる仕事じゃないと私のココロが壊れちゃうなと思ったんです」

ーー 個展はごとうさんにとって初めての試みですが、どうして開催しようと思ったんでしょうか?

ごとう この個展は、しりとりから始まったんです。

−− しりとりって、あのしりとりですよね?

ごとう ちょっと変わっていて、ある人とメールで普通のしりとりをしていたら、急に文章でしりとりをするようになって、「私はこう思ってる」の次は「る」から始まる文章で返す、みたいな感じで。それで相手が「生まれてみたい」って返してきたんです。単純な言葉なんですけど、なぜかすごく気になって、ずっと考えたり検索して調べたりしてました。

 当時はデザイン事務所に所属してたんですけど、自分を押し出さずに、依頼に応じて相手が求めているものと擦り合わせていくやり方に違和感があったんです。ちょうどその時期に、ごとうゆりか個人として雑誌で連載が始まり、自分発信の絵を描くようになって、どんどん自分っていうものが固まってきました。そうすると、今まで抱いていた違和感がもっと大きなものになってしまって。私ありきで求めてくれる仕事じゃないと私のココロが壊れちゃうなと思ったんです。

<左から有馬和樹、ごとうゆりか>

−− それで独立を?

ごとう はい。自分というものが固まった時に、私が生まれる感覚がしたんです。「うまれる」って、母親から産まれるというのもあるけど、私が感じたのは今生きてる段階で生まれ変わるような感覚で、それを今回の個展で表現したいなと思いました。

 その思いを言葉にして、私は絵本、根本さんは劇、有馬さんと泰葉ちゃんには歌と詩でそれぞれ表現していく。個展というくらいだから”弧”を描く展示にしたいなという気持ちがあって、お願いする人も感覚がすごく研ぎ澄まされてる人がいいよねということで、こちらの3人にお願いしました。

■「ねもしゅーが原作を読んでわけ分かんないって言ってましたけど、もちろん僕もわけ分かんなかったですよ」

−− ごとうさんの作った言葉を原作にして、根本さんは演劇を、有馬さんと小南さんはそれぞれ曲を作られるんですよね。

根本 私はみんながゆりかちゃんを説明する個展だと思って、劇を書いてます。根本が思ってるごとうゆりかさんはこういうイメージ、というのを表現するための劇です。

<根本宗子>

−− ちなみにごとうさんの原作はどんなものだったんですか?

根本 内容は言えないですけど……正直半分くらい何言ってるのか分からなかった(笑)。でも原作というより、文章からインスパイアされて私なりの解釈で書いてます。だから、書き上げてみたら全然違うって怒られるかもしれない。

ごとう いえいえ、怒るなんて絶対ないです! 私は依頼した時点で納得してるというか、そこから何を作るかは完全にお任せしてます

有馬 ごとうさんって自分の絵にはかなりこだわってる一方で、この作品に関しては自分の手から離れたほうが楽しいだろうって言うじゃないですか。そこがおもしろくて。

<有馬和樹>

ごとう やっぱり個を表現してほしいという思いは強いですね。

有馬 ねもしゅーが原作を読んでわけ分かんないって言ってましたけど、もちろん僕もわけ分かんなかったですよ。でも、その理解できないポイントは三者三様だと思うし、それを抱えたまま自分のやりたいように表現する方が喜ぶのかなって、話を聞いてて思いました。

−− 小南さんはいかがですか?

小南 私は多分お二人とは違っていて、原作をもらって感じたのは共感だったんです。最初の三行を読んで、だから私に依頼が来たんだっていう納得感があった。

有馬 僕はその感覚なかったなあ。

小南 わたしがいつも歌に込めてる気持ちと、ゆりんの言葉には共通する部分がたしかにあって。歌にはアンハッピーなものをハッピーに変えていく力があるから、そういうところで私なりに彼女の言いたいことと私の言いたいことをミックスして新しいものが生まれるといいなと思ってます。

 それと、お二人がわけ分からないって言ってるのを聞いて安心した部分もあって(笑)、間違ってもいいから自信を持って作ろう!と。

<小南泰葉>

ごとう この3人に関しては、大切な方々なんですけど、作品への落としこみ方のテイストが違うなと思っています。なので、どういう作品を生んでくださるのかすごく楽しみなんです。私は絵として落としこむので、それぞれの作品は観客になって楽しませていただきます。

■「それって天パですか?」

−− 今回の個展でこれは楽しんでほしい、感じてほしいことはありますか?

ごとう 個展にきて何を感じるかは人それぞれだと思うので、私から言えるのは、この空間に集まった時に少しでも楽しいとか幸せだなって、来てよかったと思ってもらえたら嬉しいですね。人生の貴重な時間を使って来ていただいてるので、その場にいる意義をしっかりと感じていただいて、そのあと頑張るぞって思ってもらいたい。そういう生きる循環みたいなものができたらいいなと思います。

−− 個展楽しみにしています! また個展が終わった後に感じたことを聞かせてください。

有馬 ここで、パジャマで?

ごとう 今度はスウェットがいいなあ。

有馬 今回もそうしてよ! そうしたら同じだったのに。

小南 ……有馬さん、ずっと気になってたんですけど、それって天パ(天然パーマ)ですか?

有馬 うん、天パ。

小南 いや、天パじゃないですよね?

一同 (笑)。

小南 対談の前に有馬さんの画像検索してて、もっとゆるいパーマを見た気がするんですけど。

有馬 多分髪が短かった時の写真ですよ。伸びると天パが強くなるんです。

小南 あ、そうなんだ。

有馬 天パにパーマをかけるなんて絶対しませんよ(詳しくはこちらの記事で)。間違いなく天パです。

(おわり)

ごとうゆりかからのメッセージ

しりとりから始まった命は『ん』が終止符ですか?
『ん』から始まる物語があります
何度でも『生まれてみたい』
それだけ

ごとうゆりか

⇓ 対談の前編はこちら

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【個展情報】

ごとうゆりか個展 「夢遊っ子の夢。」僕のアンニュイvol.わんっ
■日時:2016年08月12日(金)~17日(水) 12:00~18:00 ※木曜日休廊 
■場所:新宿眼科画廊 スペースM、S、E
■ごとうゆりか個展期間中イベント
8月12日(金)18:00~
トークショー〔ゲスト〕れもんらいふ代表:千原徹也様 & 作詞家、作曲家、ex.ふぇのたす:ヤマモトショウ

8月13日(土)18:00~
トークショー〔ゲスト〕新宿眼科画廊ディレクター たなかちえこ スピリチュアル女子大生CHIE〔スペシャルゲスト〕ごとうゆりか愛猫アンニュイ(憂鬱♀)

8月14日(日)~16日(火)
「私はわたしに生きる魔法をかけたい。」

〔原案〕ごとうゆりか
〔作・演出〕根本宗子
〔出演〕長井短

〔日程〕
14(日)19:30 / トークゲスト:小南泰葉
15(月)19:30 / トークゲスト:有馬和樹(おとぎ話)
16(火)19:30 / トークゲスト:長井短
8月17日(水)15:00~ / シークレットスペシャルゲスト:○○○○○○様
※チケット販売方法は12.13日どちらかご来場いただいた方にのみお知らせ致します

チケット等、詳細はこちら
http://www.gankagarou.com/sche/2016/201608gotouyurika.html
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取材場所ご提供:chano-ma 代官山
〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-34-17 Za HOUSEビル2F


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