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走り続けるてっぱちの勇気は、今日の1本にもつながっていく【8/31中日戦◯】

記憶の限り、てっぱちのヒーローインタビューを見るのは今季初めてだ。クールにインタビューに答えていたてっぱちは、200本まであと1本と言われ、照れたように少しだけ笑った。

てっぱちはバントをしない。当たり前だ。当たり前だけれども、バントをしない選手は、ほんの一握りしかチームにいない。スターなのだ。バントをしないてっぱちに求められることはもちろん、そこで長打を打つことだ。

ここぞの場面で打つことを期待される。それがもちろん、スターの仕事だ。

だけどてっぱちは今シーズンなかなか、その「ここぞ」の場面では打たなかった。打っても打っても、なかなか勝てない試合が続いた。静かに、その成績だけが積み重なっていく。気づけばホームランは今年も30本を超えていた。もちろんその成績はとても輝かしいものだけれど、勝利につながらないまま積み重なっていく成績に、苦しむことだってあったんじゃないかと思う。

8月に入って、てっぱちはひたすらに、走っていた。盗塁の日本記録を、次々に更新していった。それは少なからず、低迷しまくるチームと、ファンの心を励まし続けた。負けても負けても、「でもてっぱちはまた盗塁を成功させたしね!」と言い続けた。「でもてっぱちのホームラン見たしね」と、言い続けたのと同じように。

コツコツと走り続けたその数字は、いつしかとても大きな記録になっていた。記録が積み重なるたび、もちろん私は喜び、誇らしさのようなものさえ感じた。

そしてそれは、その積み重ねは、今日の大きな大きな1本にだって繋がっていたんじゃないかなと思う。

あらゆるものは、つながりあっているのだ。

てっぱちを見ていて少し思う。例えば得点圏で打てない、ということが続いた時。それ自体をなんとかしようともがくことはもちろん必要なことだ。だけど同時に、その状態の中でも、とにかく今の自分にできることをコツコツ続けていくことも、きっとすごく大切だ。

てっぱちはそこで、走り続けた。打てない日も、走った。それはきっと勇気のいることだっただろう。でも、決して逃げることはなかった。「失敗をした瞬間に記録が途切れる」というプレッシャーの中で、てっぱちは走り続ける。

だから、スターなんだよな、と思う。持って生まれた大きすぎる才能を、臆病で潰してしまわない、勇気を持ち続けるからこそ。

てっぱちが持ち続けたスターの気概が、きっと今日の大きな決勝3ランにつながった。チームにとっても、ファンにとっても、きっとてっぱちにとっても、大きな1本だった。

てっぱちは大きすぎるプレッシャーと戦いながら、それでもそこで打ち、そして走り続ける。それは紛れもなく、夢へと続く道なのだ。


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