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今ある環境の中で、強さと弱さに向き合って【8/25阪神戦◯】

石山が抜けて、ハフが抜けて、五十嵐さんが抜けて、そしてこんちゃんが抜けた。(じゅりはどこ。)そしててっぱちが途中交代した。

満身創痍。私は今季何度も口にした言葉をまたつぶやく。でももう、ここまできたら、開き直ってやるしかないんだよな、と思う。できることを、その環境で。

もちろん、やりきれない思いは拭えない。阪神戦のたびに、私はぐっちのことをつい考えてしまう。誰かが抜けるという痛みはいつだって誰かを苦しめる。「いるのが当たり前」だったその場所は、いつしかすっかりと景色が変わってしまったような気もする。

だけど、泣いてもわめいても嘆いても、その環境は変わらないのだ。「納得」したわけじゃない。「腑に落ちた」わけでもない。「受け入れる」ことは難しくたっていい。でも、とにかくなんだってその状況を「受け止める」ことから始まるのだ。

とにかく「受け止めた」ヤクルトは、1点リードの7回表、ルーキーの坂本くんをそこに立たせて戦った。満身創痍。私はまたつぶやく。その中で坂本くんは、しっかり、ツーアウトを取った。

ただそのあと、ヒットと四球で二死1,2塁のピンチを迎える。

そうここでもちろん、「すきあらば平井くん」である。

平井くんはそのピンチを、空振り三振を奪って切り抜けた。満身創痍。それは私には、今季の平井くんの中で一番かっこいい瞬間に見えた。大きな大きな拍手が、そのあらゆるものを背負うピッチャーに送られた。

そういつだって、与えられた環境で、できる最大のことをするしかない。

ノムさんは言う。

「一流の選手になるためには、生まれ持った素質や才能が欠かせない。もちろん、プロ野球選手なら誰しも才能は持っているのだろう。だが、その中でも一流になれるだけの才能を持っている選手はそうはいない。

ただ、プロに入れるだけの素質があれば、野球に対する考え方、取り組み方次第で「超二流」にならば必ずなることができる。」
「『超二流』をあえて定義するならば、自らの強み・長所と弱点を理解して、強みを活かせるように頭を使う選手のことだろう。そういう選手がたくさんいるチームは、間違いなく強い。それは私が率いたヤクルトスワローズというチームを見ても、わかっていただけると思う。」

さてノムさんの率いていないヤクルトスワローズというチームは、なかなか「超二流」にはならない。だけど目指していくべきはおそらくこの「超二流」なのだろう、と、私は思う。

そしてきっと自分自身、目指したいのはその「超二流」なんだろうな、と思うのだ。

持って生まれた大きな才能があるわけじゃない。てっぱちや村上くんのようなスターの素質があるわけじゃない。

だけど、「1点リードの7回表」を急に任されることになり、がむしゃらにボールを投げた坂本くんのように、そしてそのあとのピンチを、しっかり乗り切った平井くんのように、考えに考えぬいて、自分の短所と長所をしっかり見極めて、そこから逃げず、与えられた場所でしっかり仕事ができるようになりたいなと思う。(いやもちろん、その二人が私よりももっとすごい「プロ」であることは間違いないのだけれど)

自分の弱点からは誰だって目をそらせたい。ずるさやかっこ悪さや弱さは、持っていないように振る舞いたい。だけど野球というスポーツでは多分、それが全部出てきてしまう。それは「書く」という作業でも同じだ。だからそういう仕事をする上では、しっかり自分の弱さと向き合わなきゃいけない。

ノムさんの一番すごいところは、そういう自分の弱点を本当にしっかり、わかっているところだと思う。

私はいつだって、弱さを包み隠さず、向き合う人に心惹かれる。考えに考え抜いて、逃げずにそこでバットを、腕を、振り続ける人たちが好きだ。

シーズンもあと少し。今ある環境の中で、強さにも弱さにもしっかり向き合って、ヤクルトが少しでも勝ち星を増やしてくれますように。良いシーズンだったねと、笑えますように。


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