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【8/1巨人戦○】そこには想像もつかないドラマがきっと、あふれている

考えてみれば、スターの苦悩はよく目にする。よくも悪くも彼らはとにかく目立つから、調子が良くても悪くても、メディアに取り上げられるし、一ファンである私はそれをよく目にする。だいたい、それがメディアに取り上げられようといまいと、スターはいつもそこにいるわけで、そのプレーの一つ一つを、シーズン通して知ることになるのだ。当たり前のことだけれど。

ここしばらく調子が悪いなとか、今シーズンはなんかうまくいかないなとか、はたまたここのところ調子が上がってきたなとか。その浮き沈みと共に、シーズンは進んでいく。

だけど、それは、ほんとうに、ごくごく一部の選手なのだ。むねちゃんは調子が良くても悪くてもそれがメディアに取り上げられるし、どちらにしてもずっと4番を打ち続けるその姿を、私はずっと目にしている。でもそれを目にするのは、ふだんからレギュラーをはっている数名の姿だけだ。

そのほとんどの選手の普段の姿を、抱える苦悩と苦労を、私は目にすることもほとんどない。もちろん、二軍の試合に毎日出かけるファンの方がいて、その人たちが撮ってくれた写真を見ることで一部を知ることはできるけれど(ありがとうございます)、意識せずとも入ってくるスターたちの情報量とはやっぱり、差が生まれる。

山野くんはヒロインで「野球をやりたくない日々もあった」と、声を詰まらせた。野球選手が、野球をやりたくないと思う日々のしんどさは、どれほどのものだっただろう。私が知らないところで、山野くんはどれだけのしんどさを抱えていたのだろ。

見えないところで、たくさんの選手がもがき、苦しみ、それでもまたそこに立つために、信じられないほどの努力を重ねている。そのほんの一部を、私は今日、目にする。山野くんの2年間を、野球をやりたくない日々を、その重みにようやく、気が付く。私がぜんぜん知らないうちに重ねていた、たくさんの努力を。

友達に山野くんの今日の試合について説明しながら、思わず私は半泣きになる。ひゆうと並木くんががにこにこしながら山野くんのヒロイン姿を写真に収めているその写真を見て、私はまた泣く。シーズンには、こんなにうれしい一勝がある。それは劇的な試合展開だったり、派手な打ち合いだったりではないけれど、静かに深く、心に染み入ってくる、そういう一勝がある。それはもしかすると、順位よりもずっと、大事なことなのかもしれない、と思う。

みんなみんな、きっとある。みんな、どんな人にだって、口に出さなくとも、目には見えなくとも、知らないところで、「野球をやりたくない日々」が、きっと。私にだって、またきっとやってくる。でもその時にそっと、今日の山野くんの姿を思い出そうと思う。そしてそれを見守っていた、ひゆうと並木くんの姿を。個人の努力と、そして周りの仲間の、やわらかな支えと、そういうもので、きっと人生は成り立っている。

山野くん初勝利おめでとう。これからの野球人生がすばらしいものでありますように。野球が楽しいと、そう思える日々でありますように。

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