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【6/23中日戦◯】少しずつ、成長していくこと。

リラックスしたぐっちの声は、とても心地よく耳に届く。

好きな選手の引退というのは、野球を応援していて最も切ない瞬間の一つだと思うけれど、今年ぐっちの解説を聞くたびに、そこから続いていく物語だったり、新しい風だったり、そういうものを感じて、少しうれしくなる。寂しい、切ない瞬間は、それは決して「終わり」ではないのだということを、思い出す。なんといっても野球選手は、引退してからの人生の方が長いのだ。

長い人生で見ると、現役の時間というのは一瞬かもしれない。その中の、今日の試合というのは本当に、もしかするとあとから振り返ったときにほとんど記憶にも残らないほどのものになるかもしれない。でも、こうして日々試合を見て観戦エッセイを書き、たまにそれを読み返してみると、一つ一つの試合にちゃんと、ドラマがあることを思い出す。

サイスニードは、年々、ヤクルトとそして日本の野球に馴染んでいってくれた気がする。なかなか先発が揃わないことで有名な(有名な?)ヤクルトにおいて、ほとんどけがもせず、ずっとローテーションを守ってくれている。そして今日、なんとも落ち着いたピッチングで、完封をしてくれた。サイスニードの投球に励まされたように、キャプテンが打ち、そして並木くんが打ちまくって走りまくり、ヤクルトはしっかりと、ほんとうにしっかりと、勝った。

最初からなにもかもがうまくいくわけじゃない。入団1年目から活躍できる選手というのはほとんどいない。みんながいろいろもがきながら少しずつ少しずつ、成長していく。外国人選手だって、少しずつ少しずつ、違う環境での野球に、言葉が通じない国での野球に、馴染んでいく。私はたぶん、そういう「少しずつ」の成長を見ているのがすごく好きなのだと思う。

解説のぐっちは、若手たちの紹介をとてもうれしそうに話していた。声だけで、にこにこしている表情が伝わってくるようだった。「失敗したら今は切り替えるんじゃなくて、悩めばいいんです」と、ぐっちは言っていた。悩んで悩んで、悩みきったその先に、きっと答えは待っている。

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