見たこともない真っ白な世界を想像してみても。

昨日は早く寝るつもりだったのに、もやもやした気持ちを文章にしていたら遅くなった。ずるずると引きずるより遥かに良かったはずなのに、解いた紐をまた固結びしたような感覚になった。脱ぎたければ切るしかないような、妙にそわそわした感覚だけが残って、結局夜更かししてしまった。みんなは正しい結び方をどこで習ったんだろうか。

朝まで起きていて、あの絵みたいな日の出を印象的に見に行くのも良いと思った。早朝の写真はまだ撮ったことがないから。でもそのためには着替えて、歩き回り、帰宅してからも風呂に入るという難関が待ち構えていることを想像してやめた。そんな体力は残っていなかった。

朝方になって意識を失うように眠って、夕方起きた。

体はいらないと思うくらい不調で、何もかもする気になれなかった。昨夜書いた詩を読んでみると、部屋の中から星を見ていた。その輝きに話しかけて、責められてもいいからせめて優しさをください、みたいなことを言っていた。

音楽を聴いて、ラジオを聴いて、何かを読んだり見たりして思ったんだろうな。まるで他人の思うことみたいな感覚だった。

火照った体を冷ましたくて外気に触れたのかもしれないし、暑くて服を脱いだのを後悔するくらい震えていたのかもしれない。

そういえば低く唸るような音で目が覚めたんだ。外は強い風が吹いていて、でも中にいるからそれを感じられなくて、世界の見えない部分が真っ白になっている想像をしていた。

背中は絶対に見えない。もしかしたら背中なんてないのかもしれない。でも触れるし、他人の背中はちゃんと見える。視界に入るたび逐一構築されるより、ずっとあり続けるものを見ていると考える方が、どう考えても楽だ。世界にとって楽だ。毎秒ごとに違う色を捉えて、会うごとに違う人と話していたらちょっと怖いな。

そんなことを布団に寝転がって考えていた。怠惰に埋もれて、惰性で息をしていた。終える理由がないだけの時間だった。

少しは動いた方が楽になる気がして外に出た。モノクロの写真を撮って回った。色を抜くんじゃなくて、どこまでも突き詰めたような濃淡だけの世界を見ていると少し安心できた。

天国なんてないと、君はまだ死なないと言う歌を聴きながら夜を歩き回るのは凄く心地良くて、飛べそうだった。

夜、無理して送った言葉でやり取りが始まった。文字だけのやり取りでいちいち緊張したり誰かを嫌いになったりするのは疲れる。折れ曲がってたまに交差して、それの羅列だけで意味を持つから難しい。表情が見えたって笑顔に出来ないのに、見えないならなおさら冷たく感じてしまう。もっと強くいられたらいいのにな。別に嫌われたっていいのにな。

何に怖がっているのか分からなくて、勝手に冷たさだけを感じ取って虚しくなっている。馬鹿らしいことは分かってる。このやり取りもその先の予定も全部終わる気がしている。それは寂しさと浅ましさを含んで、諦めさせてくれる。出来ないならとことん出来なければ救われるのに、ちょっと見える光のせいでこうやって救いなんて求めてしまうから駄目だよな。こんなこと日記に書くことじゃないし、今日に限った気持ちじゃない。

音楽がちょうど途切れて、すっかり夜になった。炊けた米のことを思い出したから、早く風呂に入ってしまおう。

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