速いだけの曲に何の意味もないように。
昨夜は漫画を読んでいた。不審者が強引に家に入り込んできて、夢か現実か分からなくなる話だった。数話読んですぐに寝た。
今日は朝に起きて食事をして、見たかった番組を見て笑って、あとは何してたんだっけと思うことしかできない。今日やることを指を立てながら考える。忘れないように書き出して、着替えた。
夕方になるころ、音楽を聞いて外出を渋っていた。でも数曲分だ。記憶がすっぽり抜けるほどではないはずなのに、何時間も空白だ。
感情が断片的に浮かんでくるけれど、それらはきっと今日ではない。あれはいつだっけと考えることしかできないから答えは出ない。昨日と今日の境目だって思い出せない、もっと言えば知らないのに、昼と夜の間なんて捉えようがない。
部屋を出る時、日差しが強そうだったから帽子をかぶることにした。髪が伸びて収まりが悪い。耳にかけても余りが浮くし、無造作にかぶっても前髪で前が見えない。とりあえず鞄にぶら下げて部屋を出た。
買い物を済ませてすぐに帰宅した。帰り道、漫画の不審者に似た人がいた。アパートの出入り口から出てくるところだった。日差しのせいもあって、一瞬、夢か現実か分からなくなった。
自転車の空気を入れた。あとは風呂に入って洗濯をして米を炊けば今日やることは終わる。
昨夜思っていたことを少し思い出した。分からないならもう放っといてくれと思うことがあった。あることに対してそう思った、という方が正しいかもしれない。自分には変えられない事実への感想だった。
勝手に荒らされる不安を覚えた。少し覗いたくらいで本当に救えるなら、悲しむ子供だっていなくなるよ。救えた気になるならそれは間違いで、ただの干渉は踏み躙るだけだからやめてほしいだけなんだ。自分も分かった気になって悲しませたことがあるのかもしれない。大切な人をこんな気持ちにさせてしまったなら嫌われたって納得できる。自分は彼らのことを嫌いになれないけれど、彼らが生み出したそれに感化された誰かを嫌いになることはあるかもしれない。
帰宅して、音楽を聞いていた。やっぱり関係なくても真っ直ぐ向き合っていれば、救われることはあるかもしれないと思い直した。自分と相手のその間に何も挟まなければ純度が高い感情でいられる。知らない誰かの意見や感想で色をつけてしまうから歪んでいくんだ。淡さを汲み取れない感覚なんて欲しくない。自分だって薄っぺらいけれど、だからせめてまっすぐいたいと思った。
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