秋が来れば、かつての憂鬱に変わっているのだろう。

昨夜は何も上手くいかなかった。昨日の前半は快調だったからそのままいい終わりを迎えられると信じていたのに、想像できる最悪の状況になった。

ただ自分が落ち込むだけの結末だった。

予定が潰れただけなんだけど、突然だったから気分が落ちた。こんなことになるなら約束の時間の前に見つけて買うのを我慢したCDを買えば良かった。そう思ったときには閉店の時間が迫っていて、引き返して買うには間に合いそうになかった。

そして空いた時間に本屋とCD屋に行った。外国のミュージシャンの名前が並んでいた。

これまでは誰も分からなかったけれど、最近は勉強しているから分かる人が多かった。分かるというのは少しずつ世界と溶け合えるようで、受け入れてもらえているようで嬉しい。

レコード屋も行った。漫画ばかり売っているところも行った。初めての場所ばかりだった。約束通りよりも充実はしていたかもしれない。

無駄になった交通費分くらいは本を読んだ。本当は良くないだろうけど、こんな日くらいは許してほしい。そのどれくらいが頭に入っているのか、何回調べても場所やタイトルが覚えられないし、文字なんて読む気になれなかったからきっとほとんど入っていない。でも写真を見たり、太字の文字が印象に残ったり、それだけでも収穫だ。十分なハーベストだ。

大きな本屋のエスカレーターを下っていると、外でパトカーに乗り込まされる人を見て、なんだかまた落ち込んだ。

本屋が閉店時間になったから帰宅した。夜は起きていた。お酒を飲んで、音楽やラジオを聴いて過ごした。昨夜は約束が守られる場合と破られた場合、どちらがいい時間だったか考えていた。良くしようと尽くしたし、もう変えようがないのだから別にどっちでもいい気がした。久しぶりに詩がたくさん書けたのは紛れもなく嬉しいことだった。

そして今朝はずっと起きていた。このままの調子で午前中に買い物も済ませようと思っていたのに、ギターを爪弾いていたら眠ってしまって起きたら夕方だった。セルフララバイだ。穏やかな休日感丸出しでなんとも格好悪い。

起きてから着替えて外に出た。交差点で事故が起きていた。その後サイレンが鳴り出し、街は喧騒に包まれていった。

帰る頃には日も暮れて、でもまだ交差点はランプが回っていた。

どれもが明日には昨日になってしまう。思い出すから同じ服を着られなくなるような繊細な部分もそのうち薄れてしまうだろうか。全てに平等に、何も感じないでいられるのは果たして強さなのだろうか。今の自分には信じられないけれど、そんな未来が来るならそれは幸せなのだろうか。

秋がくれば次の興奮で上書きしてしまうなんてそんなの嫌だ。苛立ちや寂しさはそのままの鮮度で覚えていたい。こんなこと早く忘れたいのに、と嘆きながらいつまでも捨てられずにいたい。次の季節が来るというのは、そのくらい面倒で厄介なことであってほしい。

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