壁があって屋根があって、布団に包まれて、いつでも満腹になれるなんて。

真夜中、机の上にあった紙に絵を書いた。絵は下手だけど楽しかった。夢中になれる感じが好きだ。

それでもっと楽しくさせたくて紙飛行機を作った。折り方なんて適当だけど、形は好きにしたい。細長くて速そうなのが好きだからそれを作った。

飛行機の裏面にはさっき描いた顔が覗く。勢いだけの絵とふざけて書いた文字が見えていた。

試しに飛ばしてみる。勢いよく扉にぶつかった。これは良いぞと扉を開けて、部屋の端から端まで飛ばしてみる。

コントロールが難しくて向こうまでなかなか届かない。何回も投げる。向きや高さを試しながら投げる。

何投目かでカーテンを揺らしたのを見て声が出た。純粋に嬉しかったし楽しかった。駆け寄って見ると、さっき描いた顔が笑っているみたいだった。それもおかしくて笑った。

何往復か繰り返し、何往復も追いかけて、先が折れても折り直して投げた。

ついに埃まみれのテレビ裏に着地し、遊びは終わった。早く歯を磨いて眠ろうと思っていたことを思い出した。現実に戻されるのは一瞬だった。

それからしばらく起きていて、何時に寝たか覚えていないけれど、今日は昼前まで寝ていた。何度か目覚ましを止めた記憶はあるけれど、早朝のような眠気が時間を飛ばしていった。

昼ごろ起きて、食事をして、動画を見ていた。笑っていた。昼過ぎに外に出ようと思っていたけれど、風が強いからやめた。

そのくらいの理由でいろんなことを辞められたら良いのに。地球で生きているんだから、約束でないならそのくらい許してほしい。

壁があるから風が防げるし、屋根があるから雨に当たらずにいられる。今から食事をすればお腹いっぱいになれるし、大方、会いたい人に会いたい時に会える。寝起きの温かい布団の中でその幸せを思った。恵まれすぎているのか、これが誰にとっても当たり前になれば良いのか、これでもまだ満たされないくらい上を見た方がいいのか、正しい感情は分からないけれど、自分は感じられる分だけ喜びを感じていたい。

気付けば夕方になって日が暮れていた。新譜を聴いたり、ラジオを聴いたり、小説を読んだりして日が暮れた。

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