思い出したのは、吐き出して吸い込まれていく夜の光景。

寝る前に目覚ましの音楽を選んでいた。いくつか選んでランダムで鳴らしてくれるらしいからいくつか選んでいた。

目覚ましの音楽は嫌いになると言うけれど自分はそうではない。何で起きるかは結構大切で、極端に言えばその日の気分を担っている。

激しければ良いわけじゃないし、ゆったりしていてもまた寝てしまう。ちょうど良く気分と意識を起こしてくれる曲を選ぶために、夜はいろいろな音楽を聞いていた。

季節や予定の有無でも聴きたい曲は変わる。いくつか設定して、朝になる前に寝た。目覚ましの音楽が夢の中で聞こえてきたと思っていたら現実だった。目が覚める過程が滑らかだった。

起きて、食事をして、ギターを弾いた。不意に見た占いに、停滞していたことが上手くいきそうと書いていたからやりかけていたことを再開しようと調べていた。

それで夕方になった。具体的に何をしていたか、何を思ったか、あまり捉えられない。文字を書いていると、ずっと前のことが浮かんできて動揺した。

子どもだったからで済まない残酷さを誰もが持っているだろうか。みんなが忘れているならそれでいいようなことを、たまに思い出して悶絶する。誰にだってこんな気持ちが回ってくるんだろうか。

夜中に動いた会話で計画が崩れたことを思い出した。停滞していたことが進み出すならそれは嬉しいけれど、進み出したことが急に止まると少し腹が立つ。どうしようもないことなら理解できるし、理解しようと思えるのに、考えれば分かるはずのことに今更引っ掛かっていたから苛立ったんだ。想像力が全くない人とは上手くやっていけない。自分はそこまで寛容ではない。

曖昧に泳がせておいて、上手くいけば逃げられると思っているのが見え透いていたから嫌なんだ。もっと追い詰めてやりたくなるくらいには自分の性格は悪い。信じたい人だけ信じられればそれで良いんだ。


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