だから泣いたふりはすぐに見透かされるよ。
詩を書いた。換気をしようと窓を開けて、閉めるまでの少しの時間で、まるで外にいるような気持ちだった。
展示された月の石を見て、月に行ったような気になるようなことだ。本物だけど、そこにいるわけじゃない。この部屋がいくら冷えたって、流れ込む外気を感じているだけで外にいるわけじゃない。紙飛行機は飛ばせるけど、凧揚げは出来ない。
垂れ流しているライブ映像は違うバンドを交互に再生している。誰が選んだでもなく、過去に再生した中から自動的に排出される音楽が、部屋の冷気を意識させていく。
踊るように歌う人と、狂うように笑う人と、楽しそうに飛び跳ねる人が回っている。同じ場所で、同じいつかまで一瞬で飛んでいける。魔法みたいだ。
大昔の人間がこの生活を知ったらどう思うだろうか。なんて怠惰でだらしがないと揶揄するだろうか。なんて便利で楽しそうだと羨むだろうか。
自分はいつまで経っても、時代が流れても、その時々の面白みを感じようとしたい。変わっていく価値観を潰すことなく自分のままいたい。全員が認められるなんて嘘だ。嫌い合うのが人間だから、無理なことは言わない。居心地は良い方が良いに決まってるし、でも都合良くみんながそう思い合えるとも思っていない。
支離滅裂なのは思考だけで良い。言葉は正しいところに嵌めてあげるほうが輝くからそうしてあげたいんだ。
気持ちがぐちゃぐちゃのときは別に文章だって崩壊していたっていいかもしれない。ちゃんと読めることは別に書けばいい。熱量が勝つときは往々にしてあるから、冷めないうちに書けるものは書いておきたいんだ。それだけであとは何も考えていないんだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?