この部屋から飛び立って、行き着く先の光景を。
今日も昼ごろ起きて、昨日と同じような日を過ごした。
昨日は新しい本を読み始めたけれど、今日はそれを思い出してばかりだった。それだけでなく、いつかのことを思い出してばかりだった。
想像よりいきなり残虐で顔を歪めながら読んでいた。銃で撃たれて飛び散る肉の感じや、薬を使った後の見え方を自分は絶対に書けない。あまりに知らなすぎるし、知識がないゆえに想像力が及ばない。知らないものを知っているように書いてみたいし、誰も知らないことを簡単に伝えたい。
だった数センチの厚みの中に別の世界を作り出せるなんて夢みたいだ。文字だけだから想像でどこまでも広げられる。どこまでも残酷にしてしまえるし、どこまでも喜びを溢れさせられる。
実は読み手も技量が問われていて、満足できるかどうか、満足できる作品に出会えるかどうかは自分次第なんだ。現実を知れば想像が狭くなるなんて、そんな馬鹿な過ちはしないのさ。
話の中に出てきたミュージシャンの曲を聴きながら読んでいた。それはジャズで、昔よく見ていたアニメを思い出した。ジャズの定義や歴史を知らないから間違っているのかもしれないけれど、幼い頃無意識に耳に入れていた音楽は心地良さの根底にある気がしてなんだか懐かしく感じた。
そして今日も頭の中、遠くからそれに似た曲が流れて、冷たい風景が見えた。自分はもっと上から箱のような地下室を眺めている、そんな感覚だけが残っていた。
だから読んだ気になっていたけれど、今日はまだ読んでいない。夜、少しでも読みたい。
夕方、少しギターを弾いて、文字を書いて、あとは怠惰に時間を溶かした。何もしてないのにお腹は空くからご飯を作って食べた。
なんかもっと面白いこと書きたいな。昼間に不意に思った。別に誰かに宛てたものではないけれど、何もない日でも何か残したくて続けているからには少しでも面白いこと考えていたい。
寿司から足が生えるときに飛び散る米粒のこととか、初めて行った本屋のいちばん奥の棚が開いてそこから繋がる広い部屋のこととか、そんなことを考えていたい。つまらないと一蹴されてきた思考を、一蹴されるだろうと封じてしまった想像をもっと解放したい。
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