この血だって自分のものではない、いずれ土の中で還っていくから。

眠くないから起きていたら朝になった。朝になったから起き上がったら今日が始まった。

夜の間、いろいろ聞いていた。流れてきた曲を知りたくて、聞こえてくるままに歌詞を検索してみるけれどありきたりな言葉ばかりで見つからない。

君の優しさで僕の中に生まれる優しさとか、その日が来るまで歩き続けていくとか、こんなに全部入ってるなんてここまでくると逆に凄い。

もう聞きたい気持ちは失せていたけれど、平成のバンドの色が前面に出ている曲調は良かった。勢いの中に見える気怠さみたいなあの感じが結構好きだ。洋楽を聴く感覚で内容のない曲も好きになる。純粋に曲調を好きになる。それも音楽の楽しみ方だからそれで良いんだ。

ロックバンドがロックバンドっぽくて好きだ。ロックとかパンクとか定義は分からないけれど、衝動の解放が顕著な方が格好良い。それは曲調や歌詞や態度やライブや、その他にもいろんな見せ方があるだろうけれど、どれにしてもバンドは格好良いほうがいい。

好きなミュージシャンのライブ映像を不意に見て、少し残念に思った。自由を訴えるつもりで強制していて、盛り上がりを表現しなくちゃいけない空気感が嫌だった。ライブに行ってみたかったけれど、その気持ちは少し萎んだ。

時間が経ってもまだ、妙に心に引っ掛かっている。それとは別に時間が経ったから引っ掛かることもあって、なんだか落ち着かない深夜だった。

朝起きて食事をして、眠気と闘っていた。昨夜送った言葉に返事が来ていたから、また言葉や予定を送り返していた。

昼過ぎ、ついに力尽きて寝た。見たい番組が夕方あるからそれまでに全て済ませようと意気込んでいた朝方の自分はもういない。

目覚めたらその番組が始まる時間で、それを見てから着替えて買い物へ行った。近くの店にノートを買いに行くだけの予定で部屋を出たのに、遠回りして本屋まで行った。あまり通らない道だから、カメラを持ってくれば良かったと思う景色ばかりだった。写真を撮る意識をするとこの間通った時とは全く違うところが気になる。どこで曲がるんだっけとか、こんなところにこんな扉あったっけとか、ホースとその先にぶら下がったプラスチックが同じような青色だとか、そんなことを考えていた。

たまに行っていた最寄りの本屋はもうすぐ閉店するらしい。一度も買ったことがないくせにこんなこと言えないけど、ちょっと寂しい。歩いていける距離に本屋があるのはありがたかったと改めて思う。

あと数ヶ月なのにこんなに大量の本は売り切れないだろう。この本たちはどうなるんだろうなとかぼんやり思った。きっと本屋だって買取じゃないから返すんだろう。分かっているけど、やっぱりちょっと寂しかった。

文庫本を眺めていると視界の隅が光ったから見てみたら、たしかに光っていた。店内の電気よりずっと強い光が反射していた。窓の外に目をやるとあまりに眩しすぎる夕陽が目に刺さった。一瞬も見ていられないくらい眩しかった。すぐに目を逸らしたけれど、まだぼやぼやと残像が蠢いていた。

一通り回って本屋を出る。今日も何も買わなかった。

日は暮れていて、薄くかかった雲が黄色くなっていた。その向こうには淡い青空が見える。青に薄く黄色がかかっているのに、どうして緑色に見えないのか不思議だった。

帰りに何軒か店に寄ったけれどノートはなかった。毎日書いている習慣が途切れているからどうにか手に入れたいのだけれど、ないなら仕方ない、この際別の色でもいいか、とも思う。

このまま習慣が消えてしまうのは嫌だ。この日記が日に日に長くなっているのも気になる。でもきっと来週からはあまり書けないだろうから今くらいいいか、とも思ってみる。

何周もして店を出る。少しの野菜とお菓子を買った。帰り道、暗くなった帰路で聴く音楽は高揚感があって良かった。

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