チョコレートを飴玉みたいに溶かしている。

早く寝たいとか言いながら最近は毎日夜更かしだ。昨夜の記憶はもうない。名前がまだない、あの小説を読んだこともない。読みかけの本に挟んだ紙だってずっと動いていない。

好きな場面を繰り返し読んだり、好きな映画を繰り返し見たり、気に入った食べ物を狂ったように食べ続けたりする。だから新しいものが入り込む隙間がなくて、買ってそのまま積み上げた本は居心地が悪そうだ。

昨夜の記憶が残っている部分では音楽に溺れていた。誠実な言葉を読んで、自分の感傷を引っ張り出してみたけれど、どうもしてやれないからそっとしまった。苦しい時に読んだら涙が止まらなくなりそうな言葉だった。

今日起きたのは昼過ぎだった。すっかり昼が過ぎていて力が抜けた。止めていない目覚ましが音を失って離れていく時間を数えていた。

そのまま布団の上でラジオを聴いていた。何回も聞いた話で同じように笑っていた。

気づいたら夕方で驚いたけれど、起きたのが遅かったから何もおかしくなかった。時間は少しも溶けてなどいなかった。

文字を書いて、ご飯を食べて、同じ番組をまた始めから見返していた。そして同じところで同じように笑っていた。自分のご機嫌を取ろうと必死みたいで面白い。

数日前に、それなら君も役に立てたって思えるよ、みたいなことを言われて、別に誰かの役に立ちたいとか思っていないことに気づいた。いつから誰かの役に立ちたいと思わなくなったんだろう。子供の頃は誰かのためになりたかったのにな。

それより今は、あそこで生きている自分を楽しませてあげたい、みたいな感情が占めている。たまにチョコを買ってあげたり、頻繁に本屋に連れて行ったりするんだ。結果的にみんな楽しくなるなら良いけれど、自分がつまらなくなってまで何かをしたいとは思わない。

人間は数百年も生きていられないのに、その数十年の間に生まれる恥や罪を隠そうと本気になるのはなんだか滑稽だな。いつか全部帳消しにというか関係なくなるときが来るんだ。

だから誰の目も気にしないで、どれを示しているのか分からなくなるくらい恥を重ねてみるのもいいなと思った。


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