彼らの声は、風を超えて脳天を突き破るから。

良い知らせなんて全然来なくて、ちょっと泣いてしまった。期待よりも安心しきっていたから余計に落ち込む。

初めの壁さえ越えられないやつに、軽々しく言われたらたまらないだろうな。勝手に期待して勝手に落ち込んで馬鹿みたいだ。でも過信だとは思っていなくて、まだ終わってないしむしろここからだと信じている。自分は始まってすらないのにな。

誰のためでもなくて、ただ披露するだけでもきっと楽しい。誰かのためになんて言い出せば、ただ疲労するだけで虚しい。良くても悪くても、好きでも嫌いでも、生活は続くから負けていられない。

今日は用事があったから早起きした。早く家を出て自転車で行く。水道工事で通行止めになった道を行ったり来たりしながら進んだ。

早く着いたから近くの公園のベンチで紅葉を眺めたり、ぼんやりしたりしていた。少し寒かったけれど秋晴れで気持ち良かった。

用事が終わり、また同じ道を帰る。坂道が多いから苦楽の差が激しい。当たり前だけど歩くより楽だった。

途中で本屋に寄った。読みたかった本はなくて、店内を行ったり来たりぐるぐる回っていた。週刊誌を読むおじいちゃんは、まるで時事ニュースを読んでいる感じで袋とじの中を見ようと試行錯誤していた。そんな人もいるのかと思えば、表紙を一瞬見ただけでレジへ持っていく人もいた。

平日の昼間だから当たり前だけど、老人と小さい子供を連れた親ばかりだった。

階を下りてスーパーに行くと、他人の声と足取りが騒がしくて居心地が悪かった。安くもない野菜に集って、新しくて綺麗なものばかりを取っていく。誰も見ない見切り品を少し見て店を出た。

帰り道はまだ長い。でも歩くより凄く速い。

帰宅して、待っていた連絡が来ていた。良くない返事だった。嫌な気持ちになって、なんだか腹が立ってきた。嫌なことは重なるし、続いていく。ひとり脳内でぶつぶつ言いながら風呂に入った。

今日は初めてのアルバムを聴いていた。聞かず嫌いしていただけで、真っ直ぐな詩が素直に刺さった。それっぽい綺麗な真っ直ぐじゃなくて、心や感情から真っ直ぐ抜き出したような純度があった。

本当の気持ちなんてだいたいが、狡いし、汚いし、格好悪いし、気持ち悪い。そんな言葉は奥まで刺さるから避ける人もいるだろうけれど、自分はちゃんと感じていたい。素直な気持ちから逃げたくないと思った。

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