見えない事情は、ちゃんと最後まで隠して。

今日は午前中には起きて、正午から降り出す予定の雨を待っていた。

ご飯を食べて、見たかった番組の配信を見て笑った。時間通りに降り出した雨は、特に何もないけれど、ただなんとなくやる気を削いだ。

最近何を考えているんだろうと思い出してみた。何かを思っても、その思考が終わった瞬間に箱に吸い込まれて閉じてしまうような感覚がある。道を引き返しながら思い出そうと試みるのに開かない箱が点在しているだけで、中身は見えない。だから何も思い出せなくて、結局ここに戻ってくるんだ。

今日は音楽も聞かず、昼過ぎに襲ってきた眠気に身を任せていた。少しだけ昼寝をしようと思っていたのに、目覚ましを何度も止めて夕方が過ぎた。目が覚めると日が暮れる頃だった。

窓を開けてみるとまだ雨は少しだけ降っているようで、風呂に入る気も起きない。今夜はきっと眠れないだろうし、何もできる気がしない。溶け出した焦燥感を棒に巻きつけて、甘ったるさを感じながら舐め続けるんだろう。嫌だな。

そういえば起き抜けに見た窓からの景色は深くて印象的だった。まだ暗くもない夜で、山並みを縁取るように雲が掛かっていた。向こうに見える店や街は光っていたし、その光は湿気に反射してぼんやり広がっていた。

ふっと目をやると、日が暮れてその景色はもうない。

もっと知ろうとよく見れば見るほどぼやけてしまって見えないし、よく聞けば聞くほど掻き消されて聞こえない。世界がどんどん狭くなって、視界がどんどん悪くなる。

でも景色なら夜は夜で違って見えるから面白い。社会は知らない人の意見や感想で埋められていくから、自分を失うようで苦しくなる。じゃあ見なければいいんだってそんなことは分かってるけど、でもこのままここにい続けるのもそれはそれで不安になる。

何も言えないから終わらせたかった話は本当に終わってしまった。きっとそう見えるだけで、相手の中ではまだ終わっていないんだろう。近いうちにまた再開してあの時の感じを思い出せないまま、その場しのぎの相槌で誤魔化すんだ。そうやって全部自分でつまらなくしてしまうくらいなら、退屈なまま終わらせたい。

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