あとに残るのは、ブラウン管の比率で余る黒色ばかり。

あとで読み返そうと思っていたのに、それがどれか思い出せずにいる。覚えていようと思ったことだけ覚えていて、肝心の内容は綺麗に抜け落ちるんだ。

その程度といえばそれまでなんだろう。本当に響いたなら、本当に気持ちが動いたなら忘れるはずがないと、まだ幼い自分が言う。こんなことさえ褪せてしまうなんて大人になるのは寂しいことだと思った。

あまり眠れないまま飛び起きて、配達を待っていた。ゴミをまとめて捨てた。もう回収されたかもしれないと思ったけれど、部屋中の袋を纏めてゴミ捨て場に行ってみた。ちょうど収集車と同じタイミングだった。朝から気分が良かった。

部屋に戻り、味噌汁を作って、悠々と朝食を摂る。途中まで見ていたことアニメを最後まで見た。なんか狡い終わり方だった。簡単な言葉でまとめてしまって、続編に誘導された。

それで昼になった。配達は来ない。着替えて、ギターを弾いて待っていた。外に出たかったから、時間指定を夜に変更して買い物に行った。

暑いのか寒いのか分からない季節だ。肌寒いから重ね着をするけれど、自転車を漕いでいると太陽ですぐに暑くなってしまう。でも動かずに居続ければ寒くなりそうだ。

いくつか食べ物を買って帰る。度々自転車を止めて詩の欠片を書き留めながら進んだ。頭の中で組み立てた言葉も、次の角を曲がるだけで置き忘れてしまう。言葉をこねくり回していた記憶だけが残って、肝心のその内容を覚えていないんだ。

今日はあまり聴いたことがなかった曲を聴いていた。凄く良くて、彼みたいに感情を声に出したいと思った。速さも上手さも次でいい。明確な場所は分からないけれど確実に存在している魅力が、朝日みたいだった。

帰宅して座っていると配達が来た。夕方だった。

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