それならそれでいいさ、明日には跳ねた髪もきっと普通。

手応えがない。世界のことを少しも掴めたことがない。誰かのことも、誰かとの関係も、少しただって掴めたことがない気がしている。せいぜい伸ばした指がわずかに触れる程度だ。

それに、空気がずれているような感じがある。そしてそれを相手も感じているような気がしている。

下線部の意図を正しく答えられない、的外れの解答ばかりだった子供の頃を思い出す。もう何年も経つのに全く成長していないみたいだ。暗記で誤魔化して、なんとなくやり過ごしてきただけでは他人の気持ちなんて分かるようにならないんだ。それならあの問題に意味はあるのだろうか。正解のある道徳は道徳と言えるのだろうか。

うまくいかない気がしている、というより、うまくいく気がしない。とりあえず終わったとか言えない。生きていくなら、終わったならまた始めなければいけないのだ。窮地だ。

明日は楽しみな予定がたくさんある。今日までのこと全部忘れたい。そうすれば明日の楽しい記憶だけになるのに。でも忘れたくないことも少しはあるからそれも惜しい。

帰り道は項垂れていた。古本屋に寄ったけれど文字など頭に入ってこない。気になる作家の名前だけ探してみたけれどないのでただ歩きまわるだけだった。

欲しかったCDはまだあったけれどまた今度買うことにした。

それから鞄に入るだけの買い物をして帰った。

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