濁点の付かない軽い雨音と、逆転を狙った寒い足音。

今日は早めに起きた。お米を炊いた。食事をして、雨が降るのを待っていた。

雨が降り出して、鳥が鳴く。色鉛筆で描く雨のイメージが浮かんで、やけに鮮やかな雨に見えた。

上がったら外に出ようと意気込んでいたけれど、予報ではまだ少し続くみたいだったからだんだん気持ちが萎れてしまった。

ギターを弾いて、数年前好きだった曲を思い出したり、テレビを見て、最近好きになった芸人で笑ったりしていた。日が暮れるのなんて一瞬だった。

一眠りして、雨はすっかり止んでいたけれど、外が暗くなったから布団から出たくない気持ちが募る。少しでも外を歩けば気持ちが爽やかになることを知っているはずなのに、明日でいいかと後回ししてしまう。

急に世間の目が気になって辞めたくなったり、急に今ならなんでも始められると意気込んだり、激しく行き交う情緒に振り回されるのは嫌だ。感情なんて揺らぐものだから、不安定なのは当たり前なのに。

目に見えないものは捉えられないから掴めなくて、それゆえ不安になってしまう。たまにそれでも掴める人がいて、彼らの主張はいかにも正しいような顔をしている。

片仮名の羅列を覚えるようで、印象を並べては組み合わせてを繰り返しているみたいだ。線を数本繋げただけの文字を、色や形のイメージでかき分ける。海のような広さを白紙に感じて、途方に暮れる。

時間だけを持て余していたあの頃を思い出した。やってみないと苦手なことなんて分からないのに、直感で決めさせられた道を歩き続けなければいけない。出来ないところだけを突かれ続ける道のりは狭くて長いし、早々に折れた意思は疲れ続ける一方だった。

嫌なことなんて思い出すほうが馬鹿だ。良いことなんて覚えていたくても忘れていくのに。

何もしないと無駄なことばかり考えるから良くないな。それなら暗くなった街を寒い寒いと凍えながら歩くほうが、今日に厚みが出るかもしれない。


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