まだ傷が付いていない関係を抉るような真似はしたくないし。

昨夜は早寝するつもりが全然寝付けなくて、友人と連絡を取り合っていたらもっと眠れなくなって、結局朝まで起きていた。一睡もせずに迎えることのできない用があったから少し寝た。

また同じ結末を辿るんじゃないかと考えてしまうけれど、そうなればそれでも別に仕方ないと割り切るしかない。楽しみよりわずかに不安が先陣を切っていたけれど、忘れるように電車の中では本を読んでいた。

復讐を果たすという結末で終わった。ほとんどみんな死んだし、残ったふたりもそのまま果てそうだった。どこまでも救われないけれど、そういう話や感覚に救われることがある。

夢の中みたいな状態で待ち合わせ場所へ行く。良い人だった。親切だった。敵意がない。これが当たり前だと思っていたのに、そうじゃない人も一定数いて、そういう人たちは自覚なしに傷つけていくから怖いんだ。自分がそういう人に含まれていないと思い込んでいるのも危ういけれど、誰だって自分が正義なんだから変えられない。

自分は物凄く足を引っ張っているんだろうけど、巧くて優しい人はそれを感じさせないから心地良くいられる。同等の扱いをするというのは対人関係の前提だ。自分もそんな人でありたいと思うような人だった。

用が済んで、誰にも会わずに何もせずに帰った。いや嘘だ、古本屋にちょっと寄ったんだった。何も買わずにすぐ出た。

電車で新しい友人の詩を書いていたら、あと一駅のところまできた。次かと思いながら見上げると天井でエアコンが動いているのを見つけた。ぼんやり眺めていたら最寄駅に着いた。

電車を降りるとやっと歩けるくらいの子供が手を引かれながら階段を登っていた。階段に書かれたのぼるの文字を大人が読み上げていた。こうやって学んでいくんだ。

後ろを歩いていると甘ったるい飴の匂いがした。あの子はいつまであの匂いを纏って生きていくのだろう。

部屋までの道のりをちんたら歩く。伸びた影の肩幅が狭くて頼りない。どうせならハンガーみたいな肩がいい。反射した斜め後ろからの姿はあまりに猫背で、頼るどころか疑ってしまった。

気持ち悪い虫を見た。壁に引っ付いていた。向こうからすれば人間の方が得体の知らない巨大な生物で気持ち悪いだろう。

どれだけ格好良い歌を聞いたって自分が作ったわけじゃないし、自分が格好良くなるわけじゃない。それでも一縷の希望を信じてカッコイイ歌を聞いていた。

昼間の興奮を上回る緊張感があったから、もう会いたくない人に会わなくて良いんだと言い聞かせる。会いたい人にはちゃんと会うようにしようと思う。面影がなくなるまで変わってしまう前に、覚えていてくれているうちに、ちゃんと会おうと思う。

帰宅してから、怖くて聞けなかった自意識を聞いてみた。とても細くて頼りなかった。でも辿れるほどの道はあった。良い方向へ持っていけるのか分からないけれど、祈るしかないんだ。楽しかったから、楽しいと思える間にもっと続けたい。

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