奥どころか入り口さえ辿り着けなかった、もうただの他人だけど。

今日は午前中に起きて、食事をして順調だった。

音楽を聞いたり好きな番組を見たりした。昼過ぎに買い物へ行った。がたがたの歩道を通って、信号を待つ。その間、同じく自転車の人に話しかけられて、その人は道に迷ったと言う。地図で調べると伝えたけれど、やっぱり来た道を戻ると言っていなくなってしまった。

行きたい駅はたぶんこっちですよと伝えた方はたぶん反対だった。自転車を漕ぎながら間違いを伝えたことを後悔した。

必要なものを買って、またがたがたの道を帰る。帰宅して荷物を置いて、上着を変えて散歩へ出た。

斜陽の影を捉えたくて、街をうろうろしていた。湖を一周するように橋から工事中の通路、湖畔を歩いた。鳥の鳴き声を追ってみたり、遠くから錆びた建物を見たり、目的があると楽しかった。

日が暮れる間、ベンチに座って詩を書いた。言葉遊びで繋いだり、強引な押韻で意味が途切れたりしたけど、それでも良かった。日が暮れて、水面がだんだん山並みの反射で埋まっていく様が綺麗だった。写真には映らなかったから、網膜に焼き付けた。上手い人なら写真にも映せるのかもしれない。

水面を眺めながら音楽を聴いていたらなぜか感傷的になって、あのとき強がった自分を責めたくなった。本当のことを言えていたってどうせもう他人だろうけど。

帰り道、道の真ん中に座り込む猫がいて、車が立ち往生していた。自分は徒歩だったから駆け寄ってみたけど猫は逃げなくて、車の人にどうですかという顔をされたけど何も言葉にできなかった。車は通らないから来た道を戻るみたいだった。

何もできないやるせなさが物凄い。何もできないから何もしないで帰った。心配で足の力が抜けてゆっくりしか歩けなかった。心配なんて口実で、本当は自分の卑怯さに耐えられなかったんだ。無力感に襲われているようで、実は飼い慣らしている。ただ、ずるい自分を認めたくないだけなんだ。

どこまでも人間は卑しくて浅ましいな。なんでもいいし、誰でもいいからとにかく縋りたかった。

夜になると、もう一生このままかもしれないなんて思って怖くなるんだ。言葉だけの本当はほとんど嘘だから、こうやって文字にするのさ。こうやって強がった自分を責めてくれる未来が来るのだろうか。

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