流れるような足取りで、枯れる前に始まりを。

嫌な夢で目が覚めた。焦っていた。目が覚めたら夢だった。夢の中で焦りたくない。リアリティのある偽物の緊張感なんて無駄すぎる。

それから起きた。時間は迫っていて急ぎたいのに、寒くて布団から出たくない。でも間に合わない方が嫌だから起床した。

何を着るか迷っていたらさらにぎりぎりになって、慌てて部屋を出た。風が物凄く強くて飛ばされそうだった。

集合の駅に着いて、合流して、遊んだ。見たり食べたり歩いたり、そんなのを大人は遊びと言うんだ。

非の打ちようがない時間だった。自分の居心地の良さは相手の配慮によって成り立つものだと思う。自分もそんな相手でいたい。

友人はとても進んでいた。次会う時までに自分もやりたいことをちゃんとやりたいし、それだけじゃなくてやるべきこともやっていたい。

行く時の電車で、今日何か変わるだろうかと思っていた。何か変えるほどのことはないだろうとも思った。でも帰りの電車では、ほんの少し気持ちが変わっていた。

写真や絵や大きな作品を見たんだけれど、それよりも目の前にいた人のほうがよっぽど影響力があった。凄く印象的で心が掴まれる音楽を浴びたときよりも些細なことで笑い合った帰り道のほうが覚えていたり、遠くまで見に行った映画よりその後寒い寒いと言いながら歩いた夜道の方を忘れられなかったり、そういうことなんだ。

自分がなんでもない顔して言ったことややったことで誰かに影を落とすことだってある。反対もあるからどうしようもないことなんだけど、その自覚は持っていたい。何か変わるわけじゃないけど、たまには自覚したい。

そんなことを考えていて、最寄駅まで着いた。帰宅するまでずっと寒かった。

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