見つめるだけでいいのに、見られるのだけは鬱陶しくて。

こんなに返ってこないと、自分はもう世界から消えたみたいだ。跳ね返りがないというのは壁がないということ、もしくは、投げたものがそもそも形を持っていなかったということになる。

そのどちらかなら、投げ続けるのはとても無意味に思える。消えているのと大差ないじゃないか。

結末を知りたくなくて読み進められないでいる小説を少しずつ読む。どう転んでも良くはならない残りの厚みが寂しい。

どんどん悪い方向へ流されていく。もう読みたくないよ。こんなこと思うの初めてだ。幸せになるべき人がそうなれないのを見ていられないんだ。

本は閉じて、食事をする。動画を見る。知らない人の広告ももう見慣れてしまった。

散歩にでも行きたい。投げ出すこともなにもなくて、気持ちだけが浮いている。それを追うように町を彷徨いたい。

空の上か海の中か分からない映像を見た。その青は深くてきれいだった。

夕方は、もう何度も見た好きな映画をまた流していた。

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