何も変わらない日々に影響された君が、青さを覚えるその様を。

視界の端、透明なビニール袋が紫色に見えた。夢みたいに透けていた。水溜りに浮かぶ油みたいな曖昧な色だった。

どうしてそう見えたのか分からなかったし、分からないままだった。紫色なんて生活にないと気付いた。青い服は着るし、赤い食べ物だって食べる。黄色も緑も毎日見ているのに、自分の生活には紫色が少ないみたいだ。

そう思って部屋を見渡すと、漫画の背表紙やギターのケーブル、肌に毎日塗りたくっているクリームや化粧水の容れ物が紫色だった。ちゃんと毎日目に入っていた。

日々、そういうことがたくさんあるんだろう。体内を通ってそのまま出ていく。でもそれらはただの通過ではなく、きっと何かを落としていく。その欠片が少しずつ溜まって、今日みたいに気づく。意識として気付けなくても、影響は受けるだろう。

昨日は日が変わる頃眠った。今日は午前中には起きた。

野菜の入っていない味噌汁を作って、食事をした。もうずいぶん弦を張り替えていないギターを弾いて、暮れていく太陽に照らされる屋根を見ていた。

新しく好きになったバンドの曲を聴いた。初めての感情になって詩を作って、暗くなった景色を久しぶりにカーテンから覗いた。

何も変わらない昨日みたいな今日だった。

何も変わらない明日みたいな今日だった。

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