それは幻想だから、ひたすら自由に遊べるのさ。
今日は昼前に起きた。友人から連絡が来ていたから返事をした。二度寝したい気分は吹き飛んだけど、昼までだらだらしていたらまた眠くなった。
この間見た映画のことを思い出していた。席が空いているか聞かれて、別に誰もいないよと言う。髪を切った子に、とてもよく似合っているよ、と言う。そのふたつがなんだか印象に残っていて、布団の中で呟いてみる。
とても、なんて普段の会話であまり使わない。書く文章ではよく使うのに、話す言葉だとほとんど使わない。それは、とても、なんて言うと気取っているように思われる気がしてならないからだ。実際、他人がどう思うかなんて分からないし、穏やかな口調でとてもと言う人がいれば自分の気は惹かれるだろう。
言葉を魅力的に使う人はいいな。声や話し方もあるだろうし、それが大きいけれど、自分の中にない視点で、自分の語彙の忘れかけている部分を突いてくる人は面白くて好きだ。
とても、とても、とても、ゆっくり何度も言ってみる。似合っているよ、似合っている、似合って、これだって恥ずかしくてなかなか言えないな。
そして昼過ぎに起きて、文字を書いて、音楽に浸る。季節が変わると聞く曲も変わっていくのが面白い。体が馴染みの曲や詩を求めるんだ。同じ曲でも、気分や季節や体調や環境でいいと思うところが違うのが良い。よく聞いていたときの生活や感情に一瞬で戻れるのも良い。空気が蘇るから写真みたいだ。
窓を開けていたら騒がしくなったから外を見ると、カラスが2羽いた。ベランダから見える畑の奥に溜まった水を浴びていた。1羽が浴びている間、もう1羽は近くで様子を見ていた。人間と大差ないその様が凄く良かった。
食事をして、お笑いを見て笑い、着替えて、少し写真を撮りに行った。太陽は濃くなくて影も薄かった。もっとはっきりした影を撮ってみたいんだけど、なかなか難しい。
目で見た色や明暗を写すだけでもとても難しい。誰かに、とても難しいんだよって言ってやりたい。そして、やり方教えてよって話を続けたい。
昼過ぎに見たカラスもカメラでは撮れなかった。別に記録がしたいわけじゃないから良いんだけど。カメラという道具でもっと遊びたいだけ、それをもっと使いこなしたいだけなんだ。
夜も、別に、誰も見ないよ、と言い聞かせて好きな写真を撮りに行きたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?