絶対に落ちないから、約束は宙に浮いたまま。

誰が凄いとか、この凄さが分かる感性がどうだとか、そういうのより純粋に楽しんで笑わせたいとはしゃぐ姿が見たい。前者は自分も試されているようで疲れるんだ。分からないといけないことなんてないし、感性がばらばらだから彼らだって存在している。ましてや音楽の趣味趣向なんて無限にあって、技術だって技法の数だけあるんだから好きかどうかで判断すればいい。天才だとか、努力家だとか、両方ないと売れないだとか、馬鹿みたいだ。

誰だってそんなこと分かってる。その上で全部才能だと言い切ってしまう人間に惹かれるし、出来ないこともあると言える人間のほうが優しい。

眠れないから見ていた動画でそんなことを考えていたらもっと眠れなくなった。何も考えずに笑える漫才が見たかったのに、素直な気持ちに入り込む音楽が聴きたかったのに、自分だって結局大衆に飲まれてしまうんだ。その事実が堪らなく気持ち悪くて嫌だった。

今日は朝起きて、昼までだらだらと過ごしていた。サプリメントが喉につっかえて、もし気管に入ったら肺に行ってしまうんだろうかと考えていたら怖くなった。肺に入っても溶けるなら良いけど、溶けないで居座り続けるなら迷惑だ。

食事を終えると違和感はなくなったからどちらかには進んだだろう。昼過ぎに来る予定の荷物を待ちながら買い物に行くかどうか迷っていた。結局帰って来れない時間になったから大人しく部屋で待つことにした。

予定時間の後半に届いた荷物を開けて、部屋に馴染ませる。居場所に返してあげるし、居場所を作ってあげる。

新しく買った本を開いて読んでいたら時間はどんどん経ってしまって、すっかり夕方になった。

ちょっとだけと開いた本で遅くなったから、満足するまでと進めてみたら最後まで辿り着けた。

それから我慢できずに漫才を見て、ひとりでけらけらと笑っていた。彼は約束を破ったけど、ちゃんと約束を覚えていた。きっとこれからも忘れられない約束なんだろうと思った。

時間が変わっても分からないことは、そのままにしておきたいし、もっとぐちゃぐちゃに絡めてしまいたい。このままふざけた時間を過ごしても良いと少しだけ肯定してくれた気がして嬉しかった。

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