深く潜って沈み込んだのに、最後は星になるなんてどうだい。
今日は昼過ぎに起きた。外は晴れていた。
パンを焼いて食べて、漫画を読んだ。ほとんど裸を読んでいた。もう脱いでばっかりで、着る描写も減っていったから笑えてきた。だんだん会話もなくなって、表情で想像するしかなくなっていった。半分まで読んで本を閉じた。
日が暮れてからは音楽に浸っていた。知ったばかりの曲とまだ知らない曲を聴いていたから、深く潜るよりも浅瀬で楽しむような感覚だった。
自分が生まれる前の曲だった。この曲が出来た時代に生きてみたかった。古いとか新しいとかではなく好きなものは好きだ。
演奏や歌の上手さはよく分からないから、純粋に惹かれるものを吸収したい。そんなものだけで自分を満たしたい。
天気予報によると夕方に雪が降るらしかった。雨の音が聞こえて、窓を開けて見るけれど何も見えなかった。暗くなって、強い風の音だけが聞こえていた。
集めるなら強い風は溜まりすぎる。どうせならもっと穏やかで優しい風をひとつずつ探しながら集めたいと思った。
でも最近読んでいる裸ばっかりの漫画の中はもうすぐ台風が来る。夏だ。真冬に毛布に包まる日々で、真夏の海などを読んでいる。
自分はどちらに生きているのか分からなくなる。そのくらい飲み込まれればあとは楽だ。
暗くて退屈で、とにかく痛々しい映画が見たいと思った。探してみてもパッケージと説明だけでは色合いが分からないから結局見つけられなくて詩を書いた。
近くにある紙を机に広げて文字を書いた。映画が見たいという内容なのに、いつの間にか沈み込んでいって、星空という名前を付けていた。何かに向き合うとき、夢中になるとき、意識は半分どこかへ行っているくらいがちょうどいいんだ。
その紙には数ヶ月前に書いた言葉も並んでいた。踊ってみたいけれど、踊りを知らないからどうすればいいか分からない、みたいなことが書かれていた。
手書きの詩だからきっと映画でも見て衝動的に書いたんだろう。そこまでは思い出せるのに、何を見て、どんな場面でどんな気持ちになったのか全く思い出せなかった。
音楽も同じで、見たことがあるジャケットなのに、見たことがあるという記憶だけが残っていて、どんなきっかけで聞いていた曲なのかよく覚えていなかった。
最近聞き始めた曲も、明日見るかもしれない映画も、少し経てばきっかけなんて忘れてしまうだろう。少し寂しいけれど、そんなものだからどうしようもないね。
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