君の言うことは分からないことだらけだったよ。

眠れないとぼんやりしていたらいつの間にか寝ていた。いつ寝たのか覚えていないけれど、朝方だったのは確かで、わずかに寝坊した。

それでもまだ時間はあったから楽しみにしていた番組を見ながらパンを食べた。釘付けになっていたら時間は迫ってきたから、急いで着替えた。

早めに外に出て自転車に跨って、空気が抜けていることに気づく。この間修理したばかりなのにまたか、と落ち込む。電車に乗っても良かったけれど、隣の駅まで歩いてバスに乗ることにした。

隣の駅まではそこそこ歩く。歩きながら傘を持っていないことに気づく。自転車で行く予定だったから傘は持たなかったのに、徒歩なら要るかもしれない。でも引き返すにはもう歩き過ぎていた。

早歩きで駅まで向かう。汗が滲んで集まって流れる。最近好きになったバンドの新譜を聴いていた。ついでにまだ知らない旧譜も聞く。

駅に着いて、バス停を探す。バスは好きだけど、乗るのが難しい。同じ乗り場から違う場所に行くから時間と目的地を何度も確認して乗り込んだ。

いちばん後ろの席に座ると、物凄い勢いで冷房が吹いてきた。汗を乾かすために、ありがたく浴びる。火照った顔が冷めていく。

知った街なら曲がる度に不安になるけれど、知らない街だからただ楽しく乗れた。大きい車に乗るのが結構好きだ。まず運転するのが凄い。大きな車体を後ろまでぶつけることなく曲がるときなんて、感嘆の声が出そうになる。

それと、揺れも好きだ。運転が荒い人なら疲れるけれど、優しい人なら揺れが心地良い。ふわふわ浮くあの感じが楽しい。

無事に着いて、また歩く。予定を済ませて、帰りは別のバスに乗った。時間がかかるけれど安いバスだった。バス停までの道のりで雨が降ってきて、やっぱり傘を持って来なかったことを悔いた。

100円のバスに乗ってみた。停留所で待つ間、同じく待っている数人が生み出す独特の空気感が懐かしい。たった数分だけど、距離感や順序ができる。そんな人々に紛れて数分を待っていた。

張り紙を見ていると、100円なのは今月までで、来月からは値上がりするらしい。次からこの値段で乗れないんだと思った。いちばんにその思考になった自分に肩を落とす。今日は安く乗れてラッキーじゃんと思う自分に励まされた。物は考えようだってよく言うけれど、その通りだ。肯定的に捉えられればどこまでも幸運を手に入れられるかもしれない。

雨だって小雨で止んだし、帽子を被ればそこまで濡れなかったからラッキーだったのかもしれない。でもやっぱり傘は持つべきだったと思うな。

帰り道もよく歩いて、帰宅するともう疲れ切っていた。曇り空のせいもあって夕方かと思ったらまだ昼下がりだった。午後は寝て潰しそうだけど、どうせならもうひとつくらいいいことを探したい。

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